繋がる 「オレのことは10代目、って呼んで」 「じゅう…だいめ…?」 「うん、みんなはボスって呼ぶんだけどさ、 ハヤトには違う呼び方してほしいな」 「…?」 「まだ就任して少ししか経ってないんだけどね。 オレの最初の大仕事が、君のお父さんのファミリーの壊滅さ。 知ってる?生き残ったの、ハヤトだけなんだよ」 深夜、突然の襲撃と屋敷の破壊。 暗闇の中、広大な庭にあるお気に入りだった木の洞まで逃げ、 小さな身体を震わせていた。 その場所を知るのは一部の使用人のみ。 …なのに見つかった。 それは内部の人間の裏切りを意味する。 あらゆる隠し部屋、武器庫、逃げ道を全て押さえられていた。 「君の存在は知ってたよ。だから見つけたら殺さないで 連れて帰って、って言っておいたんだ。 でないとあの夜、ハヤトはこの世からさよならしていたよ」 …そうしてこの部屋で、自分の全てを取り上げられて生きるのか。 これからずっと。 そう思っていると。 「悲しいことを全部忘れさせてあげる。一度リセットしようか」 いきなりベッドに押し倒され、両手に体重を掛けて首を絞められた。 息ができなくてもがき、思わずあの人の手に爪を立てる。 「痛いなあ」 片手が外されたと思った矢先、目の前に火花が散った。 頬を叩かれたとすぐには気が付かなかった。 「まったくもう。行儀が悪いよ」 もう一度、今度は反対側の頬。 ぱあん、と乾いた音が響く。 悪い子だ、と罵られながら何度も大きな手が振り下ろされる。 馬乗りになって、笑いながらの暴力に、 歯を喰いしばりひたすら耐えた。 「…あ、血が。口の中切れた?」 自分の手に付いた血痕を見てようやく手が止まった。 「すぐ泣くね、ハヤトは」 涙で滲む視界の中、ゆっくりと近づいてくるあの人の顔。 舌で涙を掬い取り、 「蜜の味」 と。 「オレにとっては、君の涙が」 そう言って次は唇を重ねる。 口腔内を犯されているように、舌を絡ませ、流し込まれる唾液。 これに歯を立てたりすれば、自分の舌を食い千切られてしまうだろう。 気持ち悪さを我慢して嚥下する。 「あ、慣れてきた?今日はクスリなしで様子みようかな」 あっという間に一糸纏わぬ姿にされ、視線が全身を舐める。 「君には服なんていらないかもね、すぐ脱ぐし」 …このひとは、酷い事を言うときよく笑う。 熱く硬い肉棒でお腹の中を掻き回される。 まるで内部から破壊されているかのような勢い。 激しく出入りをし、弱いところを擦られ跳ね上がる腰を摑まれて、 逃げようとすれば更に奥を責められる。 抵抗すれば手首を強く持ってベッドに押し付けられ、 体重を掛けてのしかかられる。服を着たままの相手は 勃った自分のモノを布地で擦り精射を促す。 休むことなく続く律動にそこは限界寸前。 もう戻ることなんて出来ない。 湧き上がり、噴火する溶岩のように、 それは放たれ同時に頭の中が真っ白に染まる。 挿入時の痛みを超える新たな感覚は、 これが快感だよとあのひとが教えてくれた。 「君が悦ぶことをもっといっぱいしてあげたいな。 それこそオレなしじゃ生きられないと思う程に」 こんな時、なんて言うんだっけ…? 霞がかかったように思考がぼんやりしたままの返事は。 「10代目…ありがとう…ございます…」 そして。 「よろしく、お願いします…」 だった。 いつか復讐する時の為に生きていたいから、 偽りの言葉を今は口にする。 僅かな希望は、 貴方が生きている限り続く。 <終> ※ 「遠ざかる~」の後のお話。「狂宴」からここまでは同じ世界です。 他は結構違う世界と思って下さい。ややこしいですが…っていうか、 自分的に消化不良っぽいのでまた続きを書くかもですよ(20081218) |