つたないやさしさ のどが、いたい…。 繋がったまま首を絞めると中の締め付けが激しくなって気持ちいいと。 この頃あのひとはよくそうやって、生命を維持できるぎりぎりのところまで追い詰めてくる。 何度も起こる全身の痙攣と、無意識の失禁。 今度こそ本当に終わりかもと覚悟する。 でもそれは、じぶんではしぬことができないここで、じぶんが自由になれるただひとつの方法。 それをしてくれるじゅうだいめは、なんてやさしいひとなんだろう。 うれしい。 瀕死の状態なのに、窒息寸前で苦しいはずなのに、涙を浮かべてハヤトは笑っている。 さっきまで痛いと叫び、苦しいと泣きながらオレの腕を振り払おうと躍起になっていたのに。 そんな中、不規則で弱々しい呼吸の合間に微かに動く唇に気が付いた。 …どうして? 何故ここでありがとうなんて言えるのだろう? その理不尽さに手を弛めると、狭まっていた気管に急に入り込む空気に咳込んで、余計に君は息ができなくなる。 そうして、 「じゅうだいめ…」 ここからの解放を求めて、 「もっとつよく…絞めてください…」 魂を繋ぎとめる鎖を切ってと願いを乞う。 でも。 「まだ君を自由になんてしないよ」 今日はここまで。 後はいつもの激しい交わりで、既に力の入らない細い身体を存分に味わい弄ぶ。 掠れた声で喘ぐ君の中をオレでいっぱいにして。 望まない絶頂に背を反らせ、もう出ないとの声にも、それから数回いかせてそれを確認してからようやく終わる。 首の痣は数日消えない。 消える間もなくその上からすぐに新しい痕が付くのだけれど。 じぶんは大丈夫。 きっと近いうちに、やさしいあのひとのあたたかい手が自由にしてくれるはずだから。 その日をもう少しだけ待てばいい。 …のどがまだ、いたいけど…。 <終> ※ ちょっと趣向を変えてみたり…(20090521) |