約束 他人から大事にされるのに慣れていなかった獄寺君。 だから、ちょっと優しい言葉を掛けてあげると嬉しがって懐いてくる。 反対に、元々人気のある山本は、実は自分の思い通りにはなりにくい。 「獄寺君は、照れてる訳じゃなくて、判らないんだよね、人とどう接していいか。」 オレ以外の人には、褒められても素直に喜んだりコロコロ表情を変えて笑顔を見せるなんてことはしない。 「だけどそれも個性だから、オレはいいと思うよ。」 そんな言葉ひとつで心が揺れてるのが判る。 見ていて面白い。 「他人はともかく、親には大切に育てられたオレと違って、獄寺君は自分の事を一番に想ってくれる人がいなかったんだよね。」 さらりと聞いてみた。 神妙な顔で頷く。 「これからは、オレが、一番に想ってあげたいんだけど…?」 これは告白に受けとめられただろうか? 「好きになって、いいかな?」 …多分、面と向かってこんなにストレートに言われた事は初めてなんだろう。 真っ赤になって、もったいないお言葉ですなんて泣きそうになって。 それからは、2人だけの時に 「大好き。」 なんて言いながらじゃれるように抱きつく。 オレも大好きですと躊躇いがちに背中に手を回してくる様子は、傍から見たら自分の方が抱き付かれているように見えるかも。 でも、 「獄寺君よりも背が高くなったら、させてね。」 と、まだすぐ手は出さない。 だけど、いつかは君が欲しいと言葉で縛っておく。 どうせもう経験済みだろうけど。…本人からは聞いていないが、リボーンの情報によれば。 だから焦らなくてもいい。 でも、それから暫くの間は、獄寺君の部屋に行くと牛乳ばかり出されたのにはまいった…。 〈終〉 ※
一応表バージョンなのでゆるめにほんのりと黒ツナ。本当はこの話を最初に出すべきだったかも…。 (20081016) |