第73回大会、優勝者 永野美智也


優勝への軌跡

 今年二月の総会で、夢磯名人位争奪ポイント制の変更、大会賞品内容の変更、連絡網の見直し等が決められた数日後、「やれ、今年の企画は忙しいやろな?。」と思っていた時、尾林会長から「永野さん、今年は企画をやってもらえまいか。」と、なかば強引に押し付けられた形で引き受けてしまった私ですが、天はそんな私に幸運を運んできてくれました。なんと今年最初の大会で驚きの「優勝」です。まさに晴天の霹靂とはこのことです。思い起こせば8年前の第33回大会で優勝して以来の感激、特にここ数年はぱっとせず、久しぶりの優勝で喜びもひとしおです。皆さん、ありがとうございます。

 さて、当日の私の磯の状況を説明します。上がった磯は叶島の三角でした。時間は午前4時をちょっと回ったぐらいだったと思います。夜明けまで1時間ぐらいあるので、前日セットしていたドングリ浮きを電気浮きに替えて、早速仕掛け作りです。道糸は藻切れ防止を想定しての2.5号、ハリスは朝マズ大物備えの1.7号を2ヒロ、針は遠投ハヤテ8号(チヌ針3号相当)、浮きはトウガラシ電気浮きBBで棚を竿一本に、それをがん玉3BとG2でシブシブにセットして出来上がり。竿はプレシードSP1-50、モデルとして古くなった竿ですがきれいな曲がりと胴の強さが気に入ってずっと使っています。サシエのオキアミ生をつけて釣り開始です。

 竿一本くらいの距離に仕掛けを投入、撒き餌はひたすら瀬際です。浮きがゆっくり右方向に流れていきます。(後で聞いた話ですが、この右に行く潮では食わんそうです。)あたりは全くありません。メバルもアジもおらんのか、棚を替えても投入方向を替えてもあたりがありません。それでも撒き餌はひたすら瀬際です。
 5時20分頃です、うっすらと明るくなり、瀬際のえさ取りが見えるようになった時、撒き餌の帯がじわっと左沖に流れるのが確認できました。えさ取りに気づかれないようにそっとその先に仕掛けを投入し、撒き餌を瀬際に。仕掛けがなじんでシブシブになった電気浮きが突然スパット海中に沈んだその時、すかさず合わせを入れるとプレシードSPが一気に胴までしなりました。ズッシリとした重量感が伝わってきます。後はプレシードSPに任せるだけ、竿が勝手にやり取りしてくれます。これって本当です、この竿でチヌをかけたらバラシはまずありません。竿が優しくチヌをあしらってくれるので難なく取り込むことが出来ました。強引な締め込みもなくあっけなく上がってきたので40センチぐらいだろうと思い、とりあえずストリンガーにかけて生かしておきました。まあ、この時間に一匹釣ればちょっと欲が出てきます。規定の3匹までなんとか後2匹良型をと時間まで頑張ったのですが、納竿まで追加できたのは33センチと37センチクラスの物足りない型で今日もこれまでかと思い後片付けです。

 一番大きいチヌをしめ20Lのクーラーに入れた時、クーラーにいっぱいだったので45センチは確実と思い、「一匹長寸なら10位以内には入れるだろうな」と期待感がよぎりました。今回は企画として自分で賞品を選んでいたので、「8位の米10キロがあたれば母ちゃん喜ぶだろうな」なんて独り言をいいながら帰りの船に乗り込みました。

 帰港後、2便を待つ間に1便の検量を済ませておこうと言うことで先ず抽選です。ありがとう、西嶋副会長、よくぞ1匹長寸を引いてくれました。おかげでなんとか私のチヌも検量台に乗ることが出来ました。しかも、1便の中で最長寸の48.8センチ。こんなになっちゃうと人は変に欲を出すものですかね。2便の帰港前に、「永野さんおめでとう、でも永野さんなら商品券は会に寄付するじゃろう」と励ましを頂き、尚更期待してしまいます。後は2便の検量次第です。2便の6名は全員尾島です。近場でありながら春のノッコミシーズンには数多くのビッグママが出る夢の島です。2便で帰港した人たちに笑顔が見えました。上野さんと広中さんが続けてでかいチヌを検量に出しています。負けたかなと思って検量に耳を傾けていると、「47点ウ?ん」と検量命の岩本さんの声が聞こえました。その瞬間小さいくす玉が私の頭の上で割れるのを覚えました。今回久しぶりに検量台にのせることが出来ただけでも嬉しかったのに、優勝だなんて信じられません。皆さん、ありがとうございました。

 
永野美智也