第92回大会、優勝者 永野美智也

 さて11月は今年最後の大会という事で早々と出席OKの返事をしていたものの、数日前から当日の天気予報は「真冬並みの冷え込みとなり北西の風強く海山は荒れるでしょう。くれぐれも海に釣りに行かれる方はご注意を。」事実そのとうりでした。

 集合場所の伊保田港に着くと、「風が強いって、でも、そんなの関係ねー、そんなの関係ねー」とばかりに精鋭達が荷おろし着替え中です。まったくこの人たち、ほんまに釣りが好きなんですね。いつもながら恐れ入ります。集合時間のAM5:30には出欠完了、磯割抽選も直ぐに完了。私並びに大会運営さんの手際の良さはピカイチでしょ。たまには入賞させてください。あまりに早く準備が出来たので、船長待ちの間皆さんいつもどうりの釣り馬鹿話に花が咲きます。これも一つの楽しみなんですよね。

 大会運営の私は残りくじの33番、2便となりました。1便の11人が先にええ風裏に降りとろうけ、2便のわしらは少々風があたる場所しか空いとらんじゃろう、覚悟して出船しました。船は諸島に向かっています。順番は前に名手N氏と後にA大将に挟まれ、カンチャンで凹みかげんです。先にヒナダンにN氏を降ろし、次は私です。大岩と呼ぶより「とんがり岩」と呼ばせてください。なんと足場の悪い磯でした。一人分の荷物をどうにか置ける場所に置いたら、後は平らな所はありません。時折強い風が回り込んできますが、これも覚悟の上です。ま、とりあえずタエビを撒きながらメバルちゃん狙いです。一投目から勢い良くウキが消し込みました。おっしゃー、上がってきたのは手のひらサイズのベラでした。二投目もベラ、三投目も型のいいベラでした。その後も一投一匹ベラベラベラベラベラ、、、、、、、、、、。いつの間にか磯のくぼみはベラでてんこ盛りになっていました。「なんのこっちゃ〜。」

 メバルをあきらめ、本命のチヌ狙いにスイッチです。風はず〜と右からヒュ〜です。潮は右手の瀬をかすめて左斜め沖にいい潮が走ります。風と潮が一緒なのでどうにか釣りになりそうですが、なんせ強風で道糸が海面から舞い上がりなかなか棚取りが合いません。時々ウキを消し込むのはやはりベラ君です。そのうち潮が磯と平行に流れるようになり、磯と平行に20メーターぐらい先にある6畳ほどの岩の縁に向かうようになりました。その縁まで流した所でようやく最初のチヌがヒット。上がってきたのは30センチぐらいの小チヌですが、大事にタモですくって「釣ったど〜」です。その後金メバルとタナゴが釣れただけで、どこを狙ってもチヌのあたりはありません。時間が経つにつれ風も強く潮の流れも早くなってきました。気がつくと潮が満ちて、てんこ盛りのベラ君たちは海の中へ消えていました。すると先ほどの6畳ほどの岩の方へ目をやると、水面下60センチほどに沈んでいます。その向こうだけがちょっとだけ潮がたるんでいるように見えました。流してはそこにウキを引き戻してアタリを探るうちに、根がかりしたようにウキがしもっていきました。合わせをいれるも強風の為最初は魚の重みなのかあまり解りませんでしたが、でもこれは間違いなくチヌの引きです。すかさず風表の磯の先端に出て、目一杯竿を右に出し強風の中で竿をためました。どうにか瀬をかわして取り込んだ本日最長寸のチヌが優勝を呼び込んでくれました。時間はちょうど12時30分でした。

 検量の2匹長寸で僅差の優勝ですが、「あそこは足場が悪いんじゃやけ〜、優勝にしちゃれ〜。」の船長の一言が尚更うれしかったです。ほんま足の疲れで翌日階段を上り下りするのも一苦労でした。久しぶりの優勝に拍手してくださった皆さん、ありがとうございました。

永野美智也