第93回大会、優勝者 永野美智也

 桜の花も散り気温も暖かくなる4月下旬は磯にビッグママがやってくる季節です。冬場にグレ釣りにはまっていた人も、船釣りでメバルを釣っていた人も、この季節はやっぱりあのビッグママのもんでしょう。かけた時のあの重量感、あの強引な締め込み、やっと浮かせて見えたあの巨大な銀色の魚体、タモに入れるまでのあの緊張感、あまりのデカさに震える足と高鳴る心臓の鼓動、磯の王者に勝利したあの満足感、これだから磯の巨チヌ釣りはたまりません。

 さて、例年どうり今年も初回大会は光沖でチヌを狙うという大会案内を頂いたのは4月7日でした。早めに準備にかからにゃと思い某釣具店に通うようになるとよく会員を見かけるようになりましたね。2月〜3月にはすでに50オーバーを数匹釣った会員もいるとかでいやでもテンションが上がります。 数日前まで降り続いた雨もあがり大会当日は天候も良く気温も上がるという予報で、今年の企画委員の強運を垣間見ることが出来ました。(企画さん、よろしくお願いします。) 今回は5時15分集合の6時出船でしたが、大会運営の見事なさばきで5時25分には出船することができました。(運営さん、ご苦労さまです。) 今回の私のクジ番は24番、「早いので尾島かな?」と期待しながら荷物を最後に積み込み、そのまま船首付近に座っての出船です。船はやはり尾島に向かっています。0番に中村氏、1番に押川氏と高木氏を下ろし、次は私です。「次、ひと〜り〜」なんと2番に当たっちゃいました。初めてその日自分が上がりたいと思った磯に上がることができて感激です。と言うのも出船前、岩本氏が1週間前にここで良型を釣ったそうで、尚且つ本人から「沖じゃ何も食わん、藻の縁しか食わんけ〜」とのご伝授を頂いていたからです。

 早速荷物を高場へ運び、釣り座と仕掛けの準備をしました。当日の仕掛けは、竿アテンダー0.8の53、道糸2号、ハリス1.5号、円すいウキG2、ウキ下2〜3ヒロで釣り始めました。釣り始める前に高場から藻の位置をしっかり確認しました。まずはマキエを藻の縁に流れるようにドカ打ちし、そして馴染ませた仕掛けが藻の縁をなめるように流していきました。丸残りであがってくる一匹目のオキアミを数回流し返しても何のアタリもありません、とうとう藻にこすれてオキアミも小さくなってきたので、2匹目のオキアミに付け替えて同じ藻の縁のところを流しました。すると針が藻にかかったかのように浮きがじわじわと沈んでいきました。「やっぱ、藻に掛かるわ。」と思いながらも一応軽くアワセを入れました。するとゴンゴンと竿先にチヌ特有の引きが伝わってくるではあ〜りませんか。慎重に取り込んだチヌは40センチぐらいで朝一番から幸先の良いスタートが切れました。時間はまだ6時、「こりゃ、いけるかも?」と気を良くして釣り続けるも、時々ウキを消しこむのは磯べラばっかりです。タナを変えながら沖を攻めてもエサは丸残りです。右手に見える0番と1番磯の方へ目をやると3人とも苦戦している様子が見えました。

 ここでちょっと竿を置いて高場に上がり、再度水中の藻の位置を確認しました。正面からちょっと左手側に藻の切れ目を発見。(後で聞いた話ですが、そこは1週間前に岩本氏がカマで刈り取っていたそうです。)マキエと馴染んだ仕掛けがその切れ目を通るように何度も流していると、ウキが勢いよく消し込んでいきました。かけた瞬間ずっしり感が竿に伝わってきます、一度は藻に入って動かなくなったチヌをどうにか引きずり出しゲットした2匹目は45センチぐらいの良型でした。時間はまだ9時、こうなると3匹目が欲しくなります。ハリスを新しいのに変えて同じタナで攻めていきますが、右からの風が強くなり仕掛けが馴染まなくなってきました。ハリスにガン玉を追加しても水面のさざ波にウキと道糸が押されてポイントからズレてしまいます。ふと一番磯の方へ目をやるとナント高木氏が大きく曲がった竿を右に左に倒しながら「やったぞ〜」と叫んでいるではありませんか。しばらく見物していると、隣の押川氏から全然本気にされていないみたいですぐに大笑いに変わってしまいました。いつも磯の上ではジョークを忘れない愉快なジェイクです。

 風が落ちないので思い切ってウキをトビコンBに変えました。これは小型の自重のあるウキで、道糸を水面下にはわせられるので風の強い日に結構使えます。これで仕掛けがポイントの上を通るようになりました。すると、やっぱりチヌはいました。ジワ〜と沈んでいくウキを見ながらアワセをいれると、穂先が一気に水面に突っ込む強烈な引きです。道糸を出しながら体制を立て直してやり取り開始、直ぐに手元に伝わる重量感のある引きでビッグママであるのが確信出来ました。やり取りの最中、背後から「お〜、ありゃデカイのかけちょる〜」の後に「頑張れ、チヌ〜、負けんな!!」とチヌへの声援が聞こえてきました。完全アウェー状態の声援の中、やっとの思いで釣り上げたチヌはまぎれもない50オーバーのビッグママでした。時間は11時でした。その後は35センチぐらいのを1匹追加しての納竿となりました。

 帰港後の「本日の匹数抽選」は2匹長寸となりましたが、今回は良型を揃えていたので早々と検寸を済ませ後は運を天にまかせました。牛島組は好調だったようで次々と良型が検寸台にのっていきました。結果は、3匹目に釣ったビッグママのおかげで優勝することが出来ました。 ありがとうございました。藻に悩まされた人が多い中、ホンマようあのビッグママが取れたと思います。ホンマに運が良かったと思います。次回は皆さんに幸運が訪れますように。

 最後に新米会長より、今年こころよく役員を引き受けてくださった皆さんに感謝します。皆さんお忙しいと思いますが、一人一大会ずつ主任担当するような割り当てでやって頂くようお願いします。今大会では尾崎さんが自分のペットボトルの水で検寸台を洗うの手伝ってくれたり、谷平さんが渡船代集金の手伝いをしてくれたり、役員以外の人が大会運営に係わってくれるようになり有難く思いました。一人一人が同じ会の仲間として、何かしら会の運営に係わっていくことで夢磯会が長続きしていくものと思います。よろしくお願いします。

永野美智也