明日の記憶(4) 地下の診察室での体験はハヤトを変えた。 その証拠が今日の猫になった時の様子。 まだほころびはあるみたいだけど、新しい記憶の植え付けは順調そうだ。 あの日、あれから。 数種類の薬を投与され、君は体内で燻るもどかしい疼きに気が狂いそうになっていた。 素直に受け身の姿勢をとるかと思えば、いきなりオレを全否定し嫌だと叫ぶ。 どれが本来の自分かもうわからないんだね。 まあ、迷っていなよ。 オレはその間も愉しませてもらうから。 嬌声とも断末魔とも取れる声を上げて揺さぶられ続け息も出来ないくらい喘ぎ、 数え切れないほどの絶頂を与えられ吐き出した白濁。 「…もう、出ない…!」 そう言いながらも、勃ち上がっていた幼いモノから天に向かって飛び出す粘液。 揺れて震えるソコから搾り出すように奥から押し出される雫。 「く…あ…!」 残り少ない精液を出し終えて、ほっとする間もなく再開する律動。 「じゅうだいめ!いやだ…!」 涙で濡れる宝石のような瞳。 ああ、こんな時の君もかわいいね。 そんな想いを抱き、更に中で質量を増すモノでハヤトの最奥を叩くように強く腰を打ち付ける。 疲れきった身体を労わることもなく。 「こわれ…る…なか…から…!」 背を反らせ涎を垂らし、それでも咥え込んだオレ自身にあそこで噛み付くように締めてくる。 「いたい…おく…が」 「そう?もっとオレの根元まで飲み込んでほしいのにな」 「…!」 止めないよ。こんなにオレは気持ちイイのに。 腰を引き、反動で最奥に到達するほど押し込み、激しく腰を振って中を突く。 揺さぶりをかけながら出入りを繰り返す肉棒に絡み付く粘膜が熱を帯びはじめ、 ほどなく内部全体が繰り返し収縮をする。 流石にもう出ないか。イッたみたいだけど。 お互いの敏感なトコロを擦り合わせて起こる共有の感覚。 オレが抱くハヤトの中に自身が包まれて、二重三重に重なり合うふたつの身体。 更に強く掻き回す君の蜜壷から、せっかく中に放ったものが溢れてくる。 勿体無い。 オレが少し休んでいる間も君を愉しませて、なおかつこぼさないように蓋が出来るもの…。 「そうだな、オレのお注射だけじゃ足りないみたいだから点滴しようかな」 身体が離れ、刺された凶器を抜かれたような安堵感が広がったその表情が凍る。 「じゅうだいめ…?」 棚から取り出された物を掴んでいるオレの手元を見て君の声が上擦った。 「これは今までの中では一番太いから挿れる時は痛いかもしれないけどね。 その代わり少し位動いても絶対に抜けないから、安心して治療の経過を見ていられるよ」 こんなものを長い時間挿入されて正気でいられるかな? 強弱をつけたら飽きないで楽しめるかな? 「点滴って一時間くらいかかるよね?」 「…いや…」 首を振り、近づくオレを拒むように身体を捩る。 「大きい分、動きも強烈だ。おまけに振動と、くねるのが同時に出来るんだって」 「じゅうだいめ…」 「なに?早く挿れてほしい?」 「…いやです…それ…」 「ふうん、そうなんだ、嫌なんだ」 ハヤトの目の前で玩具にローションを垂らす。こちらの準備は整ったよ。 右手に持ったその先端を震える蕾に押し当て、左手の人さし指と中指で軽く口を開かせる。 「…い…や…」 涙声での拒否。 閉じることの出来ない脚の間で、しかし挿入されるのを待ちわびるかのような菊門。 そこを中心にゆるく撫で回し、 「挿れるよ」 と声を掛けた。 嫌がって口を閉じるから余計に痛いんだよ。 叫んでも、足掻いても、オレはやめない。 間口は狭いけど、これくらいのものなら飲み込めるの知ってるからね。 許してください、止めてくださいと悲鳴を上げて泣く。 そして、 たすけて と誰かに向かって救いを求める。 可哀想だけど、君を救えるのは誰もいないんだよ。 君の傍にはオレしかいないんだから。 無機質な物体に快楽を支配されるハヤト。 その体内で冷たく蠢き熱を生み出すもの。 苦しみながら達し、でも吐き出すものがなくてただ震えるだけの性器。 それら全てがオレを興奮させる。 いつまでも見ていたいよ。 ああ、またイッた。 敏感な場所にうまく当たって固定されたようだね。 だけどあんまり動くといい所から外れてしまうよ。 その方が苦しくない? 君の瞳がオレに向かって声なき声を上げる。 それを受けとめ、黙って微笑みを返すと、澄んだ瞳が暗い絶望に沈んでゆく。 「じゅうだいめのを…これじゃないのを…ください…」 「これのほうが良いんじゃない?さっきより元気になってるよ」 「じゅうだいめ…きもちわるい…」 「お薬飲む?」 「…のみたく、ない…」 オレのモノを求めれば抜いてもらえると考えたみたいだね。 でもいつもそうとは限らないよ。 オレがその時何を一番欲しているか見抜かないと。 今は君が玩具に犯されて泣くところが見たいんだ。 そんな余裕もないだろうけどね、そんな様子じゃ。 「ころしてください…俺を…」 泣きながら君はオレに向かって最後の願いを口にする。 「うん、すぐに行けるよ、天国にね」 そのまま見守っていると、上がっていた悲痛な叫び声も次第に弱くなり、そして消えた。 君の望みどおりにしてあげたよ。 まず、心の崩壊。 でも肉体にはそれほどのダメージは無さそうだよ。 むしろ悦んでた。 そんな風に、オレには見えた。 これで完全に堕ちたかな。 思い出したくない辛い過去は消しやすい。 それは人間が本来持っている、自分を守るための自己防衛機能。 記憶は捨てることができない。 でも思い出さないようにすることはできる。 鍵を掛けた箱にしまって自分自身で意識の底に沈めるんだ。 そして白紙になったところに新しい記憶を貼り付ける。 その辺はシャマルにお任せなんだけど。 さようなら、今までのハヤト。 反抗的で泣いてばかりで言うことなんかひとつも聞かなかった、そんな子はもういない。 これからはもう完全にオレなしでは生きられなくなるんだよ。 そんな君に、明日の記憶をあげよう。 オレと共に歩むこれからの。 丸2日眠り続けたその間に行われた、まあいわゆる洗脳ってやつは、 多分ハヤトをいい未来に導いてくれるはずだ。 経過は良好だって聞いたしね。 ※ 次で終わりです。でもこのシリーズが(シリーズ…?)終わるわけではないですよ〜(20090419) |