気が付いた時にはこの部屋の中にいた。窓は無い。今は昼か、夜なのかさえ判らない。

暫く辺りを見回した後、ベッドから降りようとして自分の姿に驚いた。半袖の丈の長いTシャツの様な物を一枚だけしか身に付けていない。下着も無い。

立ち上がるとかろうじて膝の下までの長さがあり、取りあえず動くのに支障はなかった。裸足で冷たい床を歩く。空調は効いているようでこんな格好でも寒くはない。

室内に見えるドアは2つあった。

ひとつはバスルームに繋がるドア。そして、もうひとつは開かない。多分ここが外に出る為の唯一の道。

どうして自分はこんな格好でここにいるのか、この白い壁のまるで病室のような部屋は何なのか、第一、自分は誰なのか?

「あ…?」

どうして自分が判らない?記憶が…無い…?そういえば洗面台にもどこにも鏡がなかった。判るのは、背中まである、長い金髪。

 

「お目覚めですか?」

先程はどうしても開かなかったドアから、白衣を着た長身の男が入って来た。長い黒髪、黒い瞳。

「あ…あ…。」

「声が出ませんね。気分は悪くないですか?」

今、初めて声が出ないことに気が付く。首を縦に振り、返事をする。

「御自分の名前を、思い出しましたか?」

この人は、自分を知っている?今度は首を横に振った。

「そうですか。それでは貴方は暫くこの部屋で生活して下さいね。」

何?どういうことだ?

男がいきなり腕を掴む。振り払おうとするが相手の方が力が強い。背中を冷や汗が流れた。

「駄目ですよ、ここでは私の言う事を聞いて頂かないと。」

「あ、あ…。」

「貴方は私の患者なんですから。」

それでこの殺風景な部屋の意味が判った。だが、まるで監禁されるようなこの様子は何なのだろう?

「これから、治療を行います。失われた記憶を取り戻すための。」

そう言うと、男は自分をベッドに押し倒す。

「ショックで思い出す事が多いですからね、少し痛みますが我慢してください。」

口調は優しいが、これから自分が何をされるのか気付く。逃げられない。

「た…!」

叫べない口を男の唇が塞ぐ。

「…っ!」

差し込まれた舌に思い切り噛み付くと、男は一度上半身を起こした。ぞくりとするような冷たい目で見下ろされる。

嫌だという意思表示をするが、ベッドに押さえつけられた腕はぴくりとも動かない。

「それだけの元気があれば耐えられるでしょうね。続けますよ。」

男が服を捲り上げ、胸の突起に吸い付いた。

「や!」

そのまま舌で転がし弄ぶ。強く吸っては歯を立てる。両方を交互に唾液で濡らし、明らかにこちらの反応を楽しんでいる。

「あ…あ…。」

まだ触れてもいない自分のモノが形を変えてゆくのが判る。

「ここも構って欲しそうですね。」

男は股間を見て目を細めた。恥ずかしくて、悔しくて涙を我慢出来ない。

「いきなりでは辛いでしょうから、少しは遊んであげますよ。」

そう言うと、まだ完全に勃ち上がっていない自分のモノをゆっくりと口に含んだ。

「…ひ!」

暖かい粘膜の感触。優しく吸われると身体はそれを我慢できない。

「ああ!」

嫌だ。こんなことをされて感じる自分が。しかし男は更に刺激を与え続ける。

一度口から出し、舌で舐め上げながら軽く吸い付いては、手で扱き続け高みへと誘う。ぬるぬるとした液体が先から溢れ始めた。

「…いっ!」

身体が跳ね上がった。ちくりとした痛み。手だけで刺激を受けているそこを中心に、男は小さく強く吸い歯を立てて赤い痕を付けてゆく。少しずつずらし、それがひとつ、またひとつと増える度に自分は男の髪の毛を掴み、腰を揺らす。

怖い。しかし嫌だと言いながら雄の本能はそれを求めている。

そして。

「は…あ…!」

限界を超え、びくびくと脈打つモノから自分を解放した。

「…っ…ひっく…。」

「どうして泣くんですか?先に気持ち良くさせてあげたのに。」

言いながら男は自分の脚を大きく開かせ、力の抜けた身体に硬く大きな肉棒をいきなり突き立てた。

「…!」

声も出ない。

容赦のないやり方にただ歯を喰いしばり耐えるだけ。

痛い、熱い。

タスケテ。

口の動きで男は察したようだった。

クルシイ。

涙が止まらない。

「大丈夫です、血はそれ程出てはいません。」

そう言うと、男は激しく出入りをし、中を掻き回すように攻め始めた。

「あ!あ!」

突き上げるというより、押し込む。もう無理、痛い、切れる。

壊れる。

しかし意識は失えなかった。

 

「一緒にイキましょうね。」

笑わない目に見つめられる。どうして、こんな辱めを受けねばならないのか。

もういつ終わるとも知れない苦しみから逃れる方法はひとつだけ…。今ここで出来るそれは…。

「駄目です!」

舌を噛もうとした瞬間、男が指を差し込んできた。

「こんなこと、本当はしたくないんですが。」

男はポケットからハンカチを取り出し、口に詰め込んだ。その指には血が滲んでいる。

「う…。」

死ぬことも許されない。

「駄目ですよ、そんな事をしては。薬でずっと眠らせておきますよ?」

両手をベッドに押し付けられ動けない。

あらゆる抵抗を封じられ、男が満足するまでの長い時間を泣きながらひたすら待ち続けた。


 

 

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