絆(3)
こんなひとじゃなかった。
やさしいひとだった。
このひとは…。
あたたかい記憶の波に揺られながら身を捩る。
「…っ…う…!」
痛みと同時に襲い来る快楽。
ゾクゾクとしたそれは背中を駆け上り、弾ける。
大好きだった。
このひとが身にまとう明るく柔らかな空気さえも。
眩しくて、憧れて、ずっとそばにいたいと思わせるほど。
「何泣いてるの?まだ終わりじゃないよ」
震えながら嗚咽を漏らし、そろそろと腰を浮かして、落とす。
「まだ、もっと奥まで挿れて」
「…ない…」
「え?」
「でき…ない…、痛くて…中も、痛くて…」
涙がポロポロと零れ、止まらない。
「痛い…じゅうだいめ…」
繋がっているところが熱を孕んで脈打つ。
「いた…い…」
だけど。
「オレは、まだと言っているんだ。動いて」
「じゅうだいめ…」
ぎゅっと抱きしめられ、お互いの身体が密着する。
「大丈夫、痛くないよ」
その言葉で力を抜いた矢先の
「…オレは、ね」
急所への一突き。
ふたりの身体に挟まれた自身から飛び出した白濁。
「動くのが嫌なら中を震わせてくれたらいい」
そう言ってまた中の同じところを突く。
悲鳴を上げて抱きしめられている腕から逃れようとするが、
「動くとイイとこに上手く当たらないよ。一度のヒットでイケる方が楽でしょ?」
嗤いながらピンポイントでソコを攻められる。
「あつい…じゅうだいめ…」
「ハヤトの中も熱いよ。柔らかい奥と固い入り口が二段階でオレを締め付けてくれる」
それが気持ちイイと、
「いくよ、ハヤト」
嫌だと言葉にする間もなくあそこを突き上げる。
強制的な排精。
「じゅうだいめ…んっ…!」
後ろ髪を掴まれて口付けられたまま弱いところへの攻撃は続けられ、
泣きながら達し、吐き出す悲鳴も飲み込まれ、口腔内さえも犯される。
重い衝撃に耐えながら、貪るように絡まるこのひとの舌から逃げ回る。
もうじぶんがどうなるのかわからない。
ぶつかり合う身体の立てる僅かな音と、いつの間にか床に落とされていた玩具の振動音。
どうして、このひとはこんなにかわってしまったんだろう。
大人になったら、このひとを護る。
大事なひとだから、大好きなひとだから。
こころに秘めていた想いを打ち明けた、じゅうだいめの継承のあの日。
だけど、周りを全て包み込むようなあのひとは、あの日からいなくなってしまった。
※ もちっと続く…(20100530)