そのことすべて 1

 

 

 

 

 

「あれ、いたの?」

ノックもなしにドアが開き、グンマが顔を覗かせた。

「いちゃ悪いかよ、俺の部屋に。」

ガンマ団の総帥室。本来ここは一般の団員は入るどころか、この階に足を踏み入れることすら許されない。

「何の用だ?」

「ここなら人も来ないし、ちょっと使わせてもらってたんだよ。仮眠室代わりに。」

「自分のを使えよ、研究室にもあるじゃねえか。」

「僕のとこ、今キンちゃんが寝てる。」

当たり前のようにさらりと言ってのけるが、それは…。

「僕ね、キンちゃんは好きだから構わないんだよ。でも、本当は別にしなくても、傍にいるだけでもいいんだけど。」

遠まわしに行為は好きではないと言っているかのような。

「ごめん、少しだけ寝かせて。30分したら起こして。」

応接セットのソファーに横になるが早いかスヤスヤと寝息を立て始めた。疲れたらしく、ここまで来るのがやっとだったらしい。

仕事の手を休め、そっと近づく。

幼い頃から見慣れているはずの寝顔。昔は怖がりのグンマが、よく夜中に泣きながらベッドに潜り込んできていたっけと思い出す。一緒に屋敷で過ごしていた時間は僅かだが、その頃シンタローはこのグンマに多少の恋心を抱いていた。

士官学校に入学前、気持ちを受け入れて欲しかったが悲しそうな顔で拒否され、手を引いた。

『シンちゃんは好きだけど、ごめん…。』

それ以来、ただのイトコ同士という関係が続いている。

「あいつには、いいのか…。」

自分の手に入らなかったもの。それをいとも容易く手に入れたキンタローにも腹が立つ。

少し、疲れていたのもある。

「おい、奥にベッドがある。そっちに移動しろ。目の前でグーグー寝られちゃたまらん。」

軽くつついて起こす。

「…う、ん。」

寝入りばなを起こされボーっとなっているグンマの手を引き自分で歩かせる。無防備な動作でついて来る。あるスイッチで本棚がスライドし、隠し扉が開く。

「ここ?」

グンマには知らせていなかった部屋。もうひとつの仮眠室。ただしここでは一人で寝ない。

自分の後ろでドアが閉まると、グンマの表情が変わった。

「ね、こんな部屋あった?」

「後から作らせた。今までにここに入った奴は、アラシヤマひとりだ。」

「出る!帰るから開けて!」

意味を察したらしく、横をすり抜けドアに体当たりした。

「この中は防音設備が利いてて、声は絶対外には漏れない。」

「シンちゃん!どうして!」

開かないドアを拳で叩き続けるグンマを後ろから抱きしめた。

「なあ、一度くらいやらせろよ。」

「嫌だ!アラシヤマなんかの代わりにされるのは!」

意味を履き違えている。しかし。

「何だよ、アラシヤマなんか、って。お前も言っていい事と悪い事があんだよ。」

ベッドでやるつもりだった。少なくとも、その言葉を聞くまでは。

「キンちゃん!助けて!」

甲高い声。ああ、昔からこの声は好きではなかったなと思いながら、自分のポケットからハンカチを取り出しグンマの口に押し込んだ。

「…!」

本気だ。まさかこんなことをという考えは脆くも崩れ去った。

そうする間にもシンタローはグンマの髪のリボンを解き、それで両手を後ろに縛る。

そのまま床にうつ伏せに寝かせると、上はそのまま、ズボンごと下着を乱暴に下げた。

「う!う!」

声を張り上げたくても出来ないグンマ。

ただでさえ体格に差があるのに、ここまで抵抗を封じる必要があるのだろうか。

「ついでに、ここも。」

グンマのネクタイを外し、それで目隠しをする。

「…!んん!」

泣きながら頭を振って嫌がるがその手は緩められない。今、グンマの自由になる所は耳だけだった。

「しまった、キスできねえな。ま、後ですりゃいいか。」

そう言うと、そのままグンマにのしかかり、片手で前を刺激する。もう片方は既に後ろの入り口に軽く爪を立てながら入り始めていた。

「う!うー!」

グンマに入り込んだ指が、容赦なく内側から急所を攻める。それと共に直接握られ、扱かれたグンマのモノが形を変え始める。同時に攻められ続け、身体は飛び跳ねんばかりに逃げ回る。

「すげえ、ここ、締めてくるな。」

一本でも辛いそこに、さらにもう一本指が入れられた。

「っ!…っ…!」

ぐうっと身体に力が入り、シンタローの手の中に精が吐き出された。

「早いな、まだまだこれからだってのによ。」

指は中に刺激を与えつつ激しく出入りを繰り返す。吐き出された白濁はそのままそのモノに塗り付けられ、滑りを良くして擦るスピードを上げた。

がくがくと揺さ振られ、休む間もなく再び達する。

「どんくらい出たら空っぽになるんだろうな。試してみてえな。」

唯一自由を許されている聴覚がそれを聞く。

ふと、のしかかる重みが消えた。しかしそれと同時にジジジ…とファスナーを下ろす音。

「!」

いきなりの衝撃にグンマは息が出来なかった。

腰を掴まれ後ろから貫かれて激しく動かれる。そんな中、シンタローの片手はグンマ自身を強く掴み扱き続ける。

「何かつまんね、人形を抱いてるみたいだ。」

口からハンカチを取り出し、頭を床に押しつける。

「いた…痛いよ…!やめ…!」

「気持ちいいの間違いだろ?」

「キンちゃん…!助けて!」

「何でここでキンタローの名前を出すんだ!」

腹が立つ。それにしても。

「さっきまでキンタローとやってたにしては締まりがいいよな。なんかあいつだけのものにしとくの勿体ないぜ。」

キンタローの気持ちが判る。あからさまに誘っていないのに惹かれる。一つ一つの動作、視線の動き、声。そして感度。受け入れるのを拒むくせに、入り込んでしまえば銜え込んだそれに纏わり付いて離さない。そしてそれは意識的にしているとは思えない。

「あのキンタローを虜にするだけの事はあるな。確かに、一度だけで終われるか。」

「や!あ…っ!」

グンマがイク寸前、ぐっとモノを握り込み、出口を押さえて出させないようにする。

「シンちゃん!やめてよ!」

悲鳴のような泣き声。

「出したいか?」

「いかせてよ…苦しい…。」

乱れた呼吸。小刻みに震える身体。ほどかれた長い金髪が顔を隠していて表情はよく見えない。

「なあ、あいつやめて俺に乗り換えねえ?」

 

 

 

 

 

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※ Yちゃんごめん。なんか、これはこれで次元が違う所の話と思って。