つかのまの幸福  (3)

 

 

 

繋がったまま優しく身体を起こし

胡座をかいた足の上にそっと座らせる。

自分の体重が掛かり、奥まで入り込む楔に君はいちどぶるっと震え

そして力が抜ける。

身体を預けるように縋って目を閉じて

はあはあと浅い息を繰り返す。

「疲れた?」

「…気持ち、いい…」

「そうみたいだね、ここも」

小さな両胸の突起を指で摘み

くりくりと捏ね回すとあっ、と声が漏れた。

尚も指でそこを弄ぶとそれだけで感じるかのように

オレのを飲み込む下の口が強く締まる。

「きっつ…喰いちぎられそ…」

ちょっとゆるめてよと、耳朶を甘く噛む。

見下ろす身体の白い首筋と細い肩が目に眩しい。

何か印でも付けておこうかなとふと思う。

「…痛っ!」

首に吸い付くだけのキスマークでなく、ほんの僅かチクッと噛み付いてみる。

少しずらしてもう一箇所。

まるで吸血鬼の牙の歯形のように紅く刻まれた痕の

その出来に自分なりにちょっと満足して

君の身体をぎゅっと強く抱きしめた。

 

 

リズミカルな突き上げに、断続的に喘ぐ声と

ベッドのスプリングが軋む音が重なる。

ふたつだった身体はひとつになり揺れて溶け合う。

仰向けに寝かせてからはハヤトの悦ぶイイ所だけを攻め続け

途絶えることのない君の声を心地良く耳元で感じてる。

オレの背中に手を回しても絶対に爪を立てない君は

イク時には背を反らせる様にオレの身体の下で仰け反っている。

「じゅうだいめの…あついの…欲しい…」

自ら淫らにオレの下で腰を浮かせ、振り求める。

2人の身体に挟まれて何度もそこで弾けた君のモノは

密着した2人の腹の間を濡らして擦られ、またひとり達する。

「沢山あげる、待っててね」

そう言いながらも、粘りのある白い蜜を更に吐き出させようと

蠕動する肉壁をかき分け最奥に自身の先端を突き付ける。

「そこ…、突いちゃ…」

だめ、というより早く広がる君の熱。

 

「…も、じゅうだいめの…ください…」

 

泣きながらしがみつく君の腕には力が入らなくなってきた。

あんまり焦らすのも可哀想になってきたよ。

少しは楽しませてあげなくちゃいけないよね。

そう思いながらも中を掻き回すように乱暴に動くと、敏感な箇所に触れる度に

君の腰が跳ねてオレのモノをぎゅうっと締め付ける。

その状態のまま荒々しい出入りを繰り返せば

震え、硬直し、弛緩をする君のしなやかな肢体。

与えられる刺激に素直に感じ、数え切れないほどの精を放った君に

「オレのを締めてよ、もっと強く」

と囁いておいてわざわざキツイところで揺さぶりをかける。

自分で痛みを強くしてるなんてもう理解出来ないんだろうね。

それなのに

「い…っぱい…出して…飲ませて…奥…」

と、掠れた声でオレを求め続ける。

もういいよね、これだけ欲しがってるんだし。

「…いくよ…」

その一言で

「あ、じゅうだいめ…うれしい…」

涙を湛えた瞳が細まり、君は受け入れの準備を整える。

大きく動きやすいように少し身体を起こして見下ろせば

疲れ切っている筈のその顔には笑みさえ浮かべて。

それは決して無理をしているようには見えない、自然な微笑み。

だから思わず声を掛ける。

「ハヤト、好きだよ」

「だいすき…、じゅうだいめ…!」

ちゅ、と軽く唇を合わせるだけのキスをひとつ落として

それから、お望みのものを君に。

きみの中に。

 

 

 

深く、激しい突き入れにもうっとりと蕩けるような表情で

真っ直ぐオレを見続けている。

腰を突き出し熱い塊を吐き出す先は

まだ未成熟な君の体内。

肉のぶつかり合う音が止まるとき

オレから流れ込む大量の精液に君は歓喜の声を上げ

わななく口からは銀の糸が垂れている。

「あつ…い、なか、いっぱい…」

「まだまだ、飲ませてあげる」

大きく広げさせた足の間で許容量を超えて溢れ出たオレのそれと

形ばかりの精射を見せるに留まる

君のモノからの薄くなった体液が混ざり合い

下半身が白く染まっている。

こんなに汚れていても、君はきれいだよ。

今は。

 

「じゅうだいめ…オナカいっぱい…気持ちいい…」

伸ばされた手を握ると同時に

まるで糸が切れたように

ハヤトは意識を失った。

 

 

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※ 次で終わりです…(20090122