つかのまの幸福

 

 

 

「お帰りなさい、じゅうだいめ!」

屋敷のいちばん奥に位置するのはボスであるオレの部屋。

そのひとつ手前のドアを開けると胸に飛び込んでくるかわいいハヤト。

「ただいま。いい子にしてた?」

「うん!約束守って外には遊びに行かないで、

ちゃんとここで待ってたよ。食事も残さないで食べたし!」

 

主である自分がここを何日も留守にする事は滅多にない。

だけど寂しがるハヤトを連れて行くわけにはいかない大事な仕事。

守るべきファミリーのために、最前線に立つ時もある。

 

「じゅうだいめも、俺と約束してくれたとおり、

怪我しないで帰ってきたんだよね?」

「ああ、確かめてみる?」

優しくハヤトの前髪をかき上げ額にキスをする。

「じゅうだいめ、続きも…っん…」

言葉まで飲み込むように、唇を重ねて強く抱きしめる。

まだ細くて頼りない身体。

子供特有の高い声で話す言葉は少し耳につくけど、

その分アノ時の泣き声はぞくぞくするほど艶っぽい。

ちいさな舌を絡め取り、吸い上げ唾液を送り込む。

「…っ…くぅ…」

オレの舌が入ったままでは飲み込みにくそうだけど、

それは頑張ってもらおうかな。

苦しそうに震え始めたハヤトの後ろ髪を掴んで、

離れられないようにして、2人分の唾液の海でオレの舌を泳がす。

堪え切れずに入ったままの舌に歯を立てごくんと喉が鳴るが、

噛まれたオレは痛いからお返しに君のもそれより酷く噛んでみせる。

「…ぁあ、…ご、ごめ…すみませ…ん…」

ようやく空気と接することが出来た君の舌には血が滲んでる。

涙を浮かべて、でも謝るのはきみ。

「うまく、できなくてごめんなさい…」

体を離し、下を向くと涙の粒がぽたぽた落下している。

俯いたままのその頭に手を乗せて、

やわらかい銀髪をくしゃくしゃとかきまわす。

「いいよ、でもこっちは噛まないでね」

もう一度抱きしめると、オレの下半身の変化に気付いて

ハヤトは一瞬でゆでだこのようにまっかっかになった。

 

 

 

 

 

子供の寝室には不釣合いな豪勢なベッドに腰掛け、

股間に顔を埋めて懸命に奉仕をする君を見つめる。

既に勃起しているオレのモノを手と口で扱き舐め上げ、

歯を立てないようにその口に収めてゆく動作はまだぎこちない。

それでも根元を手で持って口に含み、

唇を窄めながら出し入れされれば、もう準備万端。

いつでもその中にオレの精液を出してあげられる。

だけどその前に…。

「…ん…んっ…」

小さく呻き、ぶるりとハヤトが震えた瞬間、ぴしゃっと床に水音が落ちる。

「もう何回目?オレがいく前にひとりで気持ちよくならないでよ」

汗ばむ身体が怯えたように跳ねた。

体内に埋め込まれ、蛇のようにくねる玩具。

そのせいで、床を汚している白い粘液。

「早くココでやりたくない?床に膝ついてて疲れるでしょ?」

ベッドに目をやる。

まだ殆ど皺の付いていない真っ白なシーツに、

早く君を寝かせてあげたいんだけど。

そう思い見下ろすと、汗の浮かんだ額と、

今にもこぼれそうな涙を湛えた瞳。

「やめる?」

君は僅かに首を横に振る。

判ってるけどね、集中できないのは。でも。

「…動くよ」

今度は自分から動き、口腔内を責める。

同時に、君の体内から伸びるコードの先に付いているスイッチを強にする。

「…!」

歯を喰いしばれず、しかし腰は跳ねて、

苦しそうに目を閉じ耐えている。

「飲んで。すぐに下の口にもあげるから」

奥に叩きつけるように放たれる、つんと鼻を突く香りと液体。

喉が鳴るのを確認してそれを抜いた。

「ごほ…っ、はあ…あ…」

床に崩れる身体はひくひくと震えている。

腰が揺れているのは無意識なんだろうな。

「…ぬ、ぬい…て、出して…」

「うん、今度いったらね」

「い…く…出して…あ…っ…!」

自ら腰を振って見せ、精射を知らせる。

それで、約束通りスイッチはオフに。

それから君の体内で暴れていた玩具を少し乱暴に引き抜き

部屋の隅に放り投げた。

「おいでよ」

上から声をかけるがまだ腰が立たないようで、

荒い息を落ち着かせながら緩慢な動作で起き上がろうと頑張っている。

「もっとキモチ良くさせてあげるよ、来て」

言葉だけで、手は出さずに待っている。

「じゅうだいめ…」

縋るようなグリーンアイが綺麗だと思う。

でも君の中も外も汚しちゃった。いいよね、それは君が望んだ事だから。

「久しぶりに、オレも脱ごうかな。恋人同士みたいに」

そう言うと、疲れていた表情がぱっと明るくなった。

「嬉しい!じゅうだいめ、大好きです!」

「…オレも、好きだよ。ねえ、ハヤト?」

「はい?」

「君の記憶、いつから…、まあいいや」

「…?」

不思議そうな表情で、だけどそんなことはすぐに忘れたように抱きついてくる。

今夜は久々にこの行為を素直に楽しんでみようかな。

色々考えるのは明日にしよう。

たまには君にとって束の間の幸福を、

優先するのも悪くない。

 

 

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     続きます〜(20090113