更新日 1990年(平成2年)6月19日〜2023年(令和5年8月26日)
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
發汗す可き證と併せて治を辨ず・第十六
発汗すべき証候と、それに対する治方を詳しく述べたもの・第十六
(1)大法春夏發汗に宜し。
大体の法則として春と夏は発汗させる時期である。
(2)凡そ汗を發せんには手足を令て倶に周ねからしむるを欲す。
大体発汗させる場合には、身体だけでなく手足の先までも発汗が行き渡る様にしたいものである。
時に出づるにチツ(執+水)チツ(執+水)然たるを以て一時の間許なるも亦た佳。
しかし時によっては出る量が少なくシットリと出る程度で二時間くらい続くだけという出方も悪くはない。
水の流漓たるが如から令む可から不。若し病解せ不れば當に重ねて汗を發すべし。
むしろ汗がポタポタ滴り落ちる方が良くない。もしこの様に発汗しても病が解けない場合には、
当然もう一度発汗するがいい。
汗多きときは必ず亡陽す。陽虚は重ねて汗を發するを得ざる也。
但だ發汗によって汗が出過ぎるとそれにより陽を亡ぼしてしまうから気をつけなければならない。
そして発汗により亡陽した者は熱が下がらなくても重ねて汗を発する事は出来ない。
(3)凡そ湯を服し汗を發し病に中らば便ち止む。必ずしも剤を盡さ不。
大体桂枝湯みたいな発汗剤を用いて発汗したところ、一服分で汗が出て病が解れたとすると、
三回服用することはせず、後の残りは服用しない。
(4)凡そ發すべしと云ひ湯無き者は丸散も亦た用ゆ可し。
一口に発汗しろと言えば、大体は湯薬を用いるのが当たり前であるが、
もしその湯薬が無かったら、丸剤や散剤でも仕方ないから用いてもよい。
汗出で解を爲すを以て要となす。然も湯の證に随ひて良驗あるには如か不。
薬により汗を出させ、病を解いてやるというのが目的なのだから、湯薬がその証に従って素晴らしい効果表すには、
丸剤や散剤ではとても及ばない。だからやはり湯薬に限る。
(5)夫れ病脉大問ふに病者言ふ。但便カタ(革+更)き爾みと。
大体、病脈が浮大で、大便の状態を聞くと、但だ大便は堅いと言うのみである。(大便堅い者は発汗すれば解ける)
設し利する者は大逆と爲す。
もしも病人が軟便や下痢をしている場合、たとえ汗が出て解れないと言っても発汗してはいけない。
これを発汗させることは大逆(大きな過ち)である。
かた(革+更)きは實と爲す。汗出でて解す何を以ての故に、脉浮は當に汗を以て解すべし。
ではなぜ大便が堅い者は汗が出たら解けるかと言うと、大便が堅い者は内実であり、
脈浮は気が浮かんでいるのだから当然汗によって解けるはずである。
(6)下利の後、身疼痛清便自から調ふ者は、急に當に表を救ふべし。宜しく桂枝湯にて汗を發すべし。
下痢した後、身疼痛し始め、下痢は自然に止んだのに身疼痛だけが解れない者は、急に表を救ってやるべきである。
それには桂枝湯を飲ませて発汗してやりなさい。
《發汗す可き證と併せて治を辨ず・第十六》
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