更新日 2024年(令和6年)3月5日〜2024年(令和6年3月7日)
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
合病に関する処方及び解説
合病とは、病気の本体は一つの病位にあり、病勢が盛んな為他の部位にも影響が波及している。
その為、病気の本体に対する一つの薬方証を解いて、他の病衣に波及した病気も同時に治癒する。
(1)太陽病中第2項=太陽と陽明との合病の者は必ず自下利す。葛根湯之を主どる。
太陽病と陽明病の合病の者は必ず自然と下痢をする。それには葛根湯が主となる。
(2)太陽病中第3項=太陽と陽明との合病下利せ不、但だ嘔する者は、葛根加半夏湯之を主どる。
太陽病と陽明病の合病であるのに下痢せず但だ吐きたがる者は、葛根加半夏湯が主となる。
(3)太陽病中第6項=太陽と陽明與の合病、喘而胸滿する者は下す可から不。宜しく麻黄湯之を主どる可し。
太陽病と陽明病の合病で、喘してしかも胸満する者は下してはいけない。当然麻黄湯が主となる。
(4)太陽病下第45項=太陽と少陽との合病、自下利する者には黄ゴン(草冠+今)湯を與ふ。
若し嘔する者は黄ゴン(草冠+今)加半夏生薑湯之を主どる。
太陽病と少陽病とが互いに通じて病み自然に下痢する者には、黄ゴン(草冠+今)湯を与える。
もしも下痢をして更にゲェゲェと嘔する者には、黄ゴン(草冠+今)加半夏生姜湯が主となる。
(5)陽明病第43項=三陽合病、腹滿身重以って轉側し難く、口不仁而面垢譫語遺尿し汗を發すれば則ち譫語し、
之を下せば則ち額上汗を生じ手足逆冷す。若し自汗出づる者は、白虎湯之を主どる。
太陽(発汗)陽明(下す)少陽(どちらともいえない)の合病で、腹が満り身体が重く、その為に寝返りも出来ず、
口が緩み閉じる事が出来ず(唇を脾の属と爲す陽明の熱陰を蒸せば唇締まりを怠り口不仁を為す)、
顔に垢でもついている様に汚れた感じで艶が無く、うわ言を言い、小便を知らずに漏らし、
汗を発してやると余計にうわ言が激しくなり、下してやると額の上から生汗を出し、手足が逆冷する。
もし自ら汗が出る者は、白虎湯が中心となる。
(下した後も、発汗させた後も、発汗や下しをしていなくても、どれも皆同じ)
(6)陽明病第78項=陽明少陽の合病は必ず下利す。其の脉負か不る者は順也。負く者は失也。
互ひに相剋賊するを名づけて負と爲す也。脉滑而數なる者は宿食有る也。當に之を下すべし。大承氣湯に宜し。
陽明病(裏主緩脈・土)と少陽病(半表半裏主弦脈・木)との合病は、必ず下痢するものである。
その時の脈状が背いていない者は和したのである。背いている者は不和となり和が失われたのである。
陽明病と少陽病とが互いに相手を押さえつけて背いているのを負と名付ける。
脈が滑で数の者は、胃中に消化しきれない食べ物が残っているからである。
当然これを下してやればいい。大承気湯を用いるがよい。
(7)少陽病第6項=三陽の合病、脉浮大關上上り但だ眠睡せんと欲し、目を合はすれば則ち汗す。
太陽陽明少陽の合病の場合、寸口と関上が浮大で特に関上は著しく但だウツラウツラして訳も無く夜も昼も寝たがり、
トロトロと眠りだすと直ぐに汗が出るものである。
●併病とは、病気がある病位で始まり、それが治癒しないまま他の病位にも進行した為、
二つの薬方証が病位に併存していて一緒に病んでいる。
その為それぞれの病位に対して、先に表を解いて後に裏を解く、或いは先に急を解いて後に緩を解く,
或いは先に外を解いて後に内を解く、或いは両方を同時に解いていかなければならない。
急性症、慢性症共に病みやすい。
脈や舌や腹部の證候がハッキリとしないのが特徴。
(1)太陽病中第18項=二陽の併病、太陽に初めて病を得たる時其の汗を発せしに汗先ず出でたれども徹せ不、
因って転じて陽明に属し、続いて自ら微汗出で惡寒せず、若し太陽の病證罷ま不る者は下す可から不。之を下せば逆を爲す。
此の如きは小しく汗を發す可し。設し面色縁縁として正赤なる者は、陽氣沸鬱して表に在り。当に之を解すべし。
之を熏じ、若しくは汗を発するも徹せ不、言ふに足ら不れば陽氣沸鬱して越ゆるを得不。
当に汗すべくして汗せ不れば、其の人躁煩して痛む處を知ら不。
乍ち腹中に在り。乍ち四肢に在り。之を按ずるも得可から不。
其の人短氣但だ坐するは、汗出でたるも徹せ不るを以っての故也。更に汗を發すれば則ち愈ゆ。
何を以って汗出で徹せ不るを知るか、脉渋なるを以っての故に知る也。
太陽と陽明の併病の場合、太陽が先に病を発した時、発汗させたが汗が十分に出なかった為に陽明に移り、
続いて、自然に少し汗が出て、寒気せず、もし太陽の病(足太陽経)から発する病(微悪寒発熱)が止まない者は 下してはいけない。
病は表に在るのにこれを下せば病は悪化する。この様な場合は軽く汗を出させるべきである。
もしも顔の色が燃えている様に真っ赤になる者は、陽気が止められて出られなくなり(陽気が外に出たがっている)
この熱は表に在るのだから、当然温剤を用いてこれから解いてやれ。
この汗を出させる為に火で体を煖めたり、又は汗を発したりしてもそれが中途半端だったり力が及ばなかったりした場合は、
陽気がこもったままで外へ出られない。当然汗が出るべきなのに出ない時は、その病人は躁煩(さわぎ苦しみ)して、
痛む所がわからなくなる。急に腹の中で起こったかと思うと、急に手や足にその痛みが変わり、
痛いと思う所を触ってみても痛みが得られない。
その病人の呼吸が早く、横になって寝ることも出来ずただ座っているのは、汗の出が不十分で、皮膚から外へ
抜けきれない為である(陽気の沸鬱により生ずる)。更に発汗して気を越出してやれば治る。
どうして汗の出が不十分で皮膚から外へ抜けきれないことがわかるかと言うと、
脈が渋っているからわかるのである(気はよく脈行を渋らすから血行の渋りをもって気の鬱を生じる)。
(2)太陽病下第15項=太陽と少陽との併病頭項強痛し或いは眩冒し時に結胸の如く心下痞コウ(革+更)する者は、
当に大椎第一間肺の愈、肝の愈を刺すべし。慎しんで汗を發す可から不。汗を發すれば、則ち譫語す。
脉弦五六日、譫語止ま不れば当に期門を刺すべし。
太陽の経と少陽の経とが交わって病み頭や項が強ばり痛み或いは頭に物を被せられた様に気が遠くなり、
時に結胸を患った様に心下が堅くなったりする者は、当然大椎第一間と肺兪と肝兪とを刺してやりなさい。
軽はずみに発汗の法を行ってはいけない。汗を出させれば訳の分からいうわごとを言い出す。
脈が弦になり五〜六日経ち、うわごとを言い続ける者は、当然期門を刺してやれ。
(3)太陽病下第23項=太陽少陽の併病を而も反って之を下せば、結胸と成る。
心下カタ(革+更)く、不利止まず、水漿下らず、其の人心煩す。
太陽経と少陽経との併病は下すべきではないのに、無理にこれを下すと結胸になり、
心下は堅く、下痢は止まず、飲食類も飲み込むことが出来ず、心下が苦しくなり悶える。
(4)太陽病下第44項=太陽少陽の併病、心下カタ(革+更)く、頸項強ばりて眩する者は、
当に大椎肺の愈肝の愈を刺すべし。慎んで之を下す勿れ。
太陽病と少陽病とが一緒に病み、みぞおちの下が堅く、咽喉首の左右や背面が強張り、
目が回る者は当然、大椎と肺兪と肝兪との三カ所を針で刺してやれ。
これが一番いい方法だから決して軽率に下すようなことはしてはいけない。
(5)陽明病下第44項=二陽の併病太陽の證罷みて但だ潮熱を發し手足チツ(執+水)チツ(執+水)と汗出で、
大便難く而譫語する者は之を下せば則ち愈ゆ。大承氣湯に宜し。
太陽と陽明との併病は、太陽の証が自然に衰えて止み、但だ適度の熱だけを発し、手足からジトジトと汗が出て、
大便硬くうわ言を言う者は、これを下してやれば愈ゆる。それには大承気湯がよい。
《付記・合病及び併病の処方及び解説》
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