更新日 2006年(平成18年)3月3日〜2022年(令和4年)11月21日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
婦人妊娠病脉證并びに治・第二十
婦人妊娠の病の脈状と証候ならびに、それに対する治方を詳しく述べたもの・第二十
(1)問ふて曰はく、婦人平脉を得て陰脉小弱其の人渇して食する能は不。
寒熱無きは妊娠と名づく。桂枝湯之を主どる。
法に於いて六十日に当に此の證有るべし。設し醫治に逆する者有りて却って一月に吐下を加へたる者は、則ち之を絶す。
(2)婦人宿よりチョウ(ヤマイダレ+徴)病有り、經斷ちて未だ三月に及ばず、漏下を得て止ま不、
胎動臍上に在る者は、チョウ(ヤマイダレ+徴)痼妊娠を害すると為す。
六月動ずる者は、前三月經水利する時の胎也。下血の者は、後に斷ちたる三月のハイ(血+不)也。
血止ま不る所以の者は、其のチョウ(ヤマイダレ+徴)去ら不るが故也。当に其のチョウ(ヤマイダレ+徴)を下すべし。
桂枝茯苓丸之を主どる。
桂枝茯苓丸の方 桂枝 茯苓 牡丹心去 桃仁皮去尖熬 芍藥各等分
右の五味を之を末とし煉蜜に和して兎のフン(尸+米)如の大きさに丸め毎日食前に一丸を服す。知ら不れば加へて三丸に至る。
(3)婦人懐妊六七月、脉弦發熱其の胎愈脹り腹痛惡寒し少腹扇るるが如し。
然る所以の者は子藏開くが故也。当に附子湯を以いて其の藏を温むべし。
(4)師曰はく、婦人に漏下の者有り、半産の後因って続いて下血都て絶え者有り。
妊娠下血の者有り。假令妊娠して腹中痛むは胞阻と爲す。膠艾湯之を主どる。
キュウ(草冠+弓)帰膠艾湯の方 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)二兩 阿膠二兩 甘草二兩 艾葉三兩 当歸三兩
芍藥四兩 乾地黄四兩
右の七味を水五升清酒三升を以いて合せて煮て三升を取り滓を去り膠を内れ消盡せ令め温めて一升を服す。
日に三服。差え不れば更に作る。
(5)婦人懐娠腹中キュウ痛するは当歸芍藥散之を主どる。
当歸芍藥散の方 当歸三兩 芍藥一斤 茯苓四兩 白朮四兩 澤瀉半斤 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)半斤
右の六味を杵いて散と爲し、方寸匕を取り酒に和して日に三服す。
(6)妊娠嘔吐止ま不るは乾薑人參半夏丸之を主どる。
乾薑人參半夏丸の方 乾薑一兩 人參一兩 半夏二兩
右の三味之を末とし生薑汁の糊を以ひ梧子大の如くに丸め、飮にて十丸を服す。日に三服す。
(7)妊娠小便し難く飮食故の如きは当歸貝母苦參丸之を主どる。
当歸貝母苦參丸の方 当歸四兩 貝母四兩 苦參四兩 (男子滑石加ふ半兩)
右の三味之を末とし煉蜜にて丸め小豆大の如く飮にて三丸を加へて十丸に至る。
(8)妊娠水氣有り身重く小便利せ不洒淅惡寒し起きれば則ち頭眩するは葵子茯苓散之を主どる。
葵子茯苓散の方 葵子一斤 茯苓三兩
右の二味を杵いて散と爲し飮にて方寸匕を服す。日に三服す。小便利して則ち愈ゆ。
(9)婦人妊娠せば常に当歸散を服するが宜し。之を主どる。
当歸散の方 当歸一斤 黄ゴン(草冠+今)一斤 芍藥一斤 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)一斤 白朮半斤
右の五味を杵いて散と爲し酒にて方寸匕を服す。日に再び服す。
妊娠常に服すれば即ち産を易くし胎に苦疾無く産後百病悉く之を主どる。
(10)妊娠養胎は白朮散之を主どる。
白朮散の方 白朮四分 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)四分 蜀椒三分汗去 牡蠣四分
右の四味を杵いて散と爲し酒にて一餞匕を服す。日に三服。夜に一服。
但だ苦痛するは芍藥を加へ心下毒痛するはキュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)を倍加し、
心煩吐痛し飮食する能は不るは細辛一兩半夏大なる者二十枚を加へ
之を服して後、更に醋漿水を以て之を服し、若し嘔すれば醋漿水を以て之を服す。
復た解せ不る者は小麥汁にて之を服し、已えて後渇する者は大麥粥にて之を服し、
病愈ゆると雖も之を服して置く勿れ。
(11)婦人胎を傷い、懐身腹滿小便を得不、腰より以下重きこと水氣の有る状の如く、
懐身七月は太陰当に養ふべきに養は不るは、此れ心氣實す。当に勞宮及び關元を刺瀉すべし。
小便微しく利して則ち愈ゆ。
《婦人妊娠病脉證并びに治・第二十》
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