更新日 2006年(平成18年)3月3日〜2022年(令和4年)11月21日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
婦人産後病脉證并びに治 第二十一
婦人産後の病の脈状と証候ならびに、それに対する治方を詳しく述べたもの・第二十一
(1)問ふて曰はく、新産婦人に三病有り。一なる者はケイ(ヤマイダレ+至)を病み、二なる者は鬱冒を病み、
三なる者は大便難しとは何の謂いぞ也。
師の曰はく、新産血虚し多く汗出ずるは喜風に中る。故にケイ(ヤマイダレ+至)を病ま令む血を亡ひ復た汗し寒多し。
故に鬱冒せ令む。
津液を亡ひ胃燥く。故に大便難し。産婦鬱冒は其の脉微弱嘔して食す能は不。大便反って堅く、但だ頭汗出ず、
然る所以の者は血虚而厥す。厥而必ず冒す。
冒家解せんと欲すれば必ず大いに汗出ず。血虚下厥し孤陽上に出ずるを以ての故に汗出ず産婦喜汗出ずる所以の者は、
陰を亡し陽氣獨り盛ん。
故に当に汗出でて陰陽乃ち復すべし。大便堅く嘔して食す能は不るは小柴胡湯之を主どる。(嘔吐中方見)
(2)病解し能く食し七八日更に發熱する者は此を胃實と為す。大承氣湯之を主どる。
(3)産後腹中キュウ痛するは当歸生薑羊肉湯之を主どる。併せて腹中寒疝虚勞不足を治す。
当歸生薑羊肉湯の方 (寒疝中見)
(4)産後腹痛煩滿臥するを得不るは枳實芍藥散之を主どる。
枳實芍藥散の方 枳實焼令K勿大過 芍藥 等分
右の二味を杵いて散と爲し方寸匕を服す。日に三服す。併せて癰膿を主どる。麥粥を以て之を下す。
(5)師曰はく、産婦の腹痛は法当に枳芍藥散を以てすべし。假令癒え不る者は此れ腹中に乾血有りて臍下に著くと爲す。
宜しく下オ(ヤマイダレ+於)血湯之を主どるべし。經水不利をも主どる。
下オ(ヤマイダレ+於)血湯の方 大黄三兩 桃仁二十枚 シャ(庶+虫)虫二十枚足去熬
右の三味を之を末とし煉蜜にて和し四丸と爲し酒一升を以て一丸を煎じ八合を取り頓に之を服す。
新たに血下ること豚肝の如し。
(6)産後七八日太陽の證無く少腹堅痛するは、此れ惡露盡き不大便せ不煩燥發熱し
切脉微實再倍發熱し日ポ(日+甫)時煩躁する者は食せ不。
食すれば則ち譫語し夜に至れば即ち愈ゆ。宜しく大承氣湯之を主どるべし。
熱裏に在り結膀胱に在る也。(ケイ(ヤマイダレ+至)病中見)
(7)産後の風之に続いて數十日解せ不頭微痛惡寒し時時熱有り心下悶乾嘔し汗出ずるは久しと雖も陽旦の證続いて在る耳。
陽旦湯を與ふ可し。(即桂枝湯方下利中見)
(8)産後風に中れ發熱面正赤喘而頭痛するは竹葉湯之を主どる。
竹葉湯の方 竹葉一把 葛根三兩 防風一兩 桔梗一兩 桂枝一兩 人參一兩 甘艸一兩
附子一枚炮 大棗十五枚 生薑五枚
右の十味を水一斗を以て煮て二升半を取り分ち温めて三服す。温覆して汗を出ださ使む。
頸項強れば大附子一枚を用い之を破りて豆大の如くし藥を煎じ揚げて沫を去る。嘔する者には半夏半斤を洗いて加ふ。
(9)婦人乳中虚煩亂嘔逆するは中を安んじ氣をuす。竹皮大丸之を主どる。
竹皮大丸の方 生竹ジョ(竹+如)二分 石膏二分 桂枝一分 甘草七分 白薇一分
右の五味を之を末とし棗肉に和して弾子大に丸し飮を以て一丸を服す。日に三、夜に二服。
熱有る者には白薇を倍にし煩喘する者は栢實一分を加ふ。
(10)産後下利虚極白頭翁加甘艸阿膠湯之を主どる。
白頭翁加甘艸阿膠湯の方 白頭翁二兩 甘艸二兩 阿膠二兩 秦皮三兩 黄連三兩 蘗皮三兩
右の六味を水七升を以て煮て二升半を取り膠を内れ消盡せ令め分ち温めて三服す。
(11)千金三物黄ゴン(草冠+今)湯は婦人草蓐に在りて自から發露し風を得たるを治す。
四肢苦煩熱頭痛する者は小柴胡湯を與へ、頭痛ま不但だ煩する者は此の湯之を主どる。
黄ゴン(草冠+今)一兩 苦參二兩 乾地黄四兩
右三味を水六升を以いて煮て二升を取り温めて一升を服す。多く虫を吐下す。
(12)千金内補当歸建中湯は婦人産後の虚羸不足腹中刺痛止ま不吸吸少氣し、
或いは少腹拘急し痛み腰背に引くを苦しみ食飮する能は不るを治す。
産後一月は日に四五剤を得るを善と為す。人を令て強壮ならしむる方。
当歸四兩 桂枝三兩 芍藥六兩 生薑三兩 甘艸二兩 大棗十二枚
右の六味を水一斗をもって煮て三升を取り分ち温めて三服す。一日に盡くさ令む。
若し大虚ならば飴糖六兩を加へ湯成りて之を内れ火上に於て煖めて飴を令て消さしむ。
若し去血多きに過ぎ崩傷内衄止ま不れば地黄六兩阿膠二兩を加え合せて八味とし湯成りて阿膠を内ふ。
若し当歸無ければキュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)を以て之に代へ若し生薑無ければ乾薑を以て之に代ふ。
《婦人産後病脉證并びに治 第二十一》
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