更新日 2006年(平成18年)3月3日〜2024年(令和6年)1月18日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
婦人雑病脉證并びに治 第二十二
婦人の様々な種類の病の脈状と証候とそれに対する治方を明確に述べたもの・第二十二
(1)婦人中風七八日續いて寒熱を來たす發作時有り經水適斷つは、此れ熱血室に入ると爲す。
婦人が風に中てられて風邪をひき、それが七〜八日も寒気や熱が出たり止んだりするのを続けて病んでいる時、
丁度月経が始まる時とぶつかりその月経が止まってしまったと訴えるのは、これは熱が血室(子宮)に入ったのである。
其の血必ず結す。故に瘧状の如く發作時有ら使む。小柴胡湯之を主どる。(方見嘔吐中)
この血は必ずそこに結ばれるから瘧状の様に寒気や熱の発作を時々起こさせるのである。
これには小柴胡湯が中心となる。(方は嘔吐エツ(日+曷)下利病の第十七項を見なさい)
(2)婦人傷寒發熱經水適來たり晝日明了暮には則ち譫語し、鬼状を見るが如き者は、此れ熱血室に入ると爲す。
婦人が傷寒病を患い、発熱している時に丁度月経が始まり、十時頃から十五時頃までの間は意識がハッキリとしているが、
日暮れになるとうわ言を言い出してその様子がまるで幽霊か鬼か目に見えない何かがそこに居て、
それと問答でもしている様に見える者は、これは熱が血室に入った為である。
之を治して胃氣及び上の二焦を犯すこと無ければ必ず自から愈ゆ。(月經中小柴胡湯加地黄)
これを治してやり、胃気や上焦と中焦の衛気と栄気に無理を加える事の無い様にすれば、必ず自然に治る。
(月経中なら小柴胡湯加地黄)
(3)婦人中風發熱惡寒經水適來たり復ること七八日熱除いて脉遲に身涼和し、胸脇滿ること結胸状の如く譫語する者は、
此れ熱血室に入ると爲す也。
婦人が風に中てられて発熱して悪寒し月経が丁度始まり、それから七〜八日経って月経も終ってしまうから、
熱が取れ脈は遅くなり体が涼しく感じ胸や脇が満って締め付けられる様に苦しみ痛みうわ言を言う者は、
これは熱が血室に入ったのである。
當に期門を刺し、其の實に隨って之を取るべし。
それを治すには当然期門を鍼で刺してやり、その実し具合に従ってその実を取り去ってやりなさい。
(4)陽明病下血譫語する者は此れ熱血室に入ると爲す。但だ頭汗出ずるものは當に期門を刺し、
其の實に隨って之を瀉すべし。シュウ(サンズイ+口+耳+戈)然と汗出ずる者は愈ゆ。
陽明病を患い肛門から出血してうわ言を言う者は、これは熱が血室に入った為である。
そういう者で頭から汗が出るのは、陽明の熱が血室に入り足の厥陰脈に満ち上がって頭に出て洩れるものなのか、
或は足の厥陰脈は咽喉の後ろを循り上って頭頂に出るものであるから、当然期門を刺しその実に従ってこれを散じさせなさい。
シットリと汗をかき始めた者は治る。
(5)婦人の咽中に炙臠有るが如きは半夏厚朴湯之を主どる。
婦人で咽中に炙肉の小片でも在る様に詰まる者は、半夏厚朴湯が中心となる。
半夏厚朴湯の方 (千金作胸滿心下堅咽中帖帖炙肉吐有如之呑出不之下不)
半夏一升 厚朴三兩 茯苓四兩 生薑五兩 乾蘇葉二兩
半夏厚朴湯の作り方(千金方には、胸満して心下堅く、咽中につまり有り炙った肉片が在る様で
これを吐こうとしても吐けず、これを呑み込もうとしても下らない)
半夏10g 厚朴3g 茯苓4g 生姜5g 乾姜2g
右の五味を水七升を以ひて煮て四升を取り、分ち温めて四服す。日に三、夜に一服。
右の五味を水280tと共に160tまで煮詰めて滓を去り、一日四回朝昼夕晩に温め服す。
(6)婦人藏躁は喜悲傷し哭せんと欲し象神靈の作す所の如く數欠伸す。甘麥大棗湯之を主どる。
婦人の臓が躁いで喜悲傷して欲哭(泣きたくなる)の病証を発し、
その様子がまるで不思議な力によって起こされている様である。
そして度々欠伸をする者には、甘麦大棗湯が中心となる。
甘艸小麥大棗湯の方 甘艸三兩 小麥一升 大棗十枚
甘草小麦大棗湯の作り方 甘草3g 小麦14g 大棗3.3g
(癇証の陰証の笑い病には、甘麦大棗湯や黄連解毒湯や黄耆建中湯がある)
右の三味を水六升を以て煮て三升を取り、温め分ちて三服す。亦た脾氣を補ふ。
右の三味を水240tと共に120tになるまで煮詰めて滓を去り、三回に分けて温め服す。
また脾気を補う。
(7)婦人涎沫を吐するを醫反って之を下し心下即ち痞するは當に先ず其の涎沫を吐するを治すべし。
小青龍湯之を主どる。
婦人が、涎沫(ヌルヌルとした泡の混じった濃い水の様な唾)を吐いているのに、
医者が逆に下した為に心下に痞えの証を生じさせた時は、心下の痞より先に涎沫を吐く方を治してやるべきである。
これには小青龍湯が中心となる。
涎沫止めば乃ち痞を治すべし。瀉心湯之を主どる。
涎沫が止めば、次に心下の痞を治してやりなさい。それには瀉心湯が中心となる。
(8)婦人之病虚するに因り冷え積り氣結ぼれて諸の經水斷絶を爲す。
婦人の病は大体が身体が虚した為に冷え込みが積み重なり、
陰陽の気の循りが悪くなって毎月来る月経が途切れたり止まったり諸々月経不順を生じさせるのである。
レキ(厂+禾+禾+止)年血寒有るに至れば積胞門に結び寒は經絡を傷ふ。
幾年も血の冷えが続けば、病が胞門(子宮)にこびり付き、寒は外を走るから経脈や絡脈を傷めつけるのである。
凝堅上に在れば嘔吐涎唾し久しければ肺癰を成し形體損分す。
凝堅(血が寄り集まり堅くなって廻らなくなる)したものが上焦に在ればゲェーゲェーと痰や唾を吐き、
それを長く患うと肺癰(肺に化膿性の痰と咳が続く病)になり、体に力が入らず肉が落ちて痩せてくる。
中に盤結在れば臍を繞りて寒疝し、或は兩脇疼痛し藏與相連なり、
中焦に盤(複雑に絡み合って堅くなる)の様な結があれば、
盤結から生じた熱が臍を廻って寒疝(腹部が冷えて猛烈に差し込んだ痛み)、
又は両脇が疼き痛んで肝臓と腎臓の両方に連なる。
或は熱中に結び痛み關元に在り。脉數瘡無く肌魚鱗の若く、時に男子にも著はる女身に止るには非ず。
或は、その内部に結ばれた熱から生ずる痛みが関元(経穴名)に出てくる。
瘡(腫れ物や出来物)が在れば脈が数になるはずが、今は瘡は無いのに数脈で、皮膚はガサガサになり魚の鱗の様で、
時々男性にも現れる事が有る。この様な病証は女性だけではない。
下に在ること未だ多からざれば、奄ネら不陰を令て掣痛せしめ、少腹惡寒し、或は腰背に引き下気街に根ざし、
下焦に在る事が未だに多くはない時は、月経不順になって外陰部から内陰部にかけて引き攣れる様に痛み、
下腹が冷えてゾクゾクと悪寒して、或は下の気街(霊枢経脈篇における経穴名)に根が有る様で、
その所から腰や背中の上に伸びて引いて痛み、
気衝急痛し膝經疼煩し奄忽眩冒状厥癲の如く、或は憂惨悲傷多嗔有り。
気衝(経穴名)の所が引き攣り痛んで膝から下のふくらはぎが疼痛し、急に目眩がしたり頭がボーっとしたりして、
まるで厥癲(突然目が眩み転倒して意識不明になる)の様で、
或は憂惨(心が落ち込み立ち直れない位の痛々しい状態)や悲傷(悲しんで心を痛める)や多嗔(怒り狂う)があり、
精神的感情が激しく心の動揺に因って来るのは、
此れ皆帶下鬼~有に非ず。久しければ則ち羸痩し脉虚し寒多し。
これは全部帯下の病(婦人病)であり、見えない鬼や神のせいではない。
それを長く患うと疲れて痩せ、脈が虚して脈に寒が多くなる。
三十六病千變萬端脉の陰陽虚實緊弦を審にし、其の針藥を行へば危きを治し安きを得。
婦人の病には三十六病有って、しかも色々な風に変わっていっても、
脈の陰陽、虚実、緊弦をハッキリと見極めて鍼や薬をやれば、危険なことはなく安心して治していけるのである。
其の同病と雖ども脉は各源を異にす。子當に辯記して然ら不と謂ふ勿れ。
それらの病は、同じ病でも原因がそれぞれ違うから、
君達はちゃんと覚えて、違うそうではない、知らない、と言ってはいけない。
(9)問ふて曰はく、婦人年五十所下痢を病み數十日止ま不、暮には即ち發熱し少腹裏急腹滿手掌煩熱し、
脣口乾燥するは何也。
お伺いします、五十歳位の婦人(閉経)が下痢の病が数十日も止まず、夕方には発熱し下腹の方が詰まる様になり、
腹満し、手の平が煩熱し、唇が乾燥するのはなぜですか。
師曰はく、此病は帶下に屬す。何を以ての故に曾て半産を經てオ(ヤマイダレ+於)血少腹に在りて去ら不。
師匠が言われるには、この病は帯下の病(婦人病)に属するのである。どうしてかというと、
昔流産をした事が有って血が下腹に在り(オ(ヤマイダレ+於)血有り)去らないのである。
何を以て之を知る、其の證脣口乾燥するが故に之を知る。當に温經湯を以て之を主どるべし。
何をもってこれを知ることが出来るかというと、その証に唇が乾燥するから判るのである。
当然、温経湯を用いて治してやりなさい。
温經湯の方 呉茱萸三兩 當歸二兩 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)二兩 芍藥二兩 人參二兩 桂枝二兩
阿膠二兩 牡丹皮二兩心去 生薑二兩 甘艸二兩 半夏半升 麥門冬一升心去
温経湯の作り方 呉茱萸3g 当帰3g 川キュウ(草冠+弓)2g 芍薬2g 人参2g 桂枝2g
阿膠2g 牡丹皮2g 生姜2g 甘草2g 半夏5g 麦門冬10g
右の十二味を水一斗を以て煮て三升を取り、分ちて温めて三服す。
右の十二味を水400tと共に120tまで煮詰めて滓を去り、三回に分けて温服する。
亦た婦人の少腹寒え久しく胎を受け不るを主り、崩中去血、或は月水來たること多きに過ると
及び期に至りても來たら不るに取る。
上記の証以外でも又婦人の下腹に冷えが有る為に永く子供が出来ないのをも治し、
子宮の中が崩れて血が去り月経時以外に時々出血を起こし、或は月経時の出血が多過ぎたり、
遅れて月経が無い場合にも温経湯が良い。
(10)帯下經水不利少腹滿痛し、經一月に再び見るる者は土瓜根散之を主どる。
帯下(下腹にオ(ヤマイダレ+於)血有り)が原因で月経の出血が少なく、下腹が満って痛み、
それが月に二回もある者は、土瓜根散が中心となる。
土瓜根散の方 土瓜根三分 芍藥三分 桂枝三分 シャ(庶+虫)蟲三分
土瓜根散の作り方(陰タイ(ヤマイダレ+頽)腫の病(陰嚢が腫れる病)をも又これが中心となる)
土瓜根3g(駆オ(ヤマイダレ+於)血剤) 芍薬3g 桂枝3g シャ(庶+虫)蟲3g
右の四味を杵いて散と爲し、酒にて方寸匕を服す。日に三服。
右の四味を杵いて末とし、酒で2gを服す。一日三回服す。
(11)寸口の脉弦而大、弦は則ち減と爲し、大は則ちコウ(草冠+孔)と爲す。減は則ち寒と爲し、
コウ(草冠+孔)は則ち虚と為す。
寸口の脈が弦大、その弦は減を表し大はコウ(草冠+孔)を表す。減は寒を表しコウ(草冠+孔)は虚を表す。
寒虚相搏つ、此を名づけて革と曰ふ。婦人は則ち半産漏下す。旋覆花湯之を主どる。
寒と虚とがぶつかり合うのを名づけて革と言う。これを患うと婦人は流産を起こし出血が止まらなくなる。
これには旋覆花湯が中心となる。
旋覆花湯の方 旋復花三兩 葱十四莖 新絳少許
旋覆花湯の作り方 旋復花3g 葱1.4茎(根付きの白い部位) 新絳少し許(紅花染めで代用可)
右の三味を水三升を以いて煮て一升を取り頓に之を服す。
右の三味を水120tと共に40tになるまで煮詰めて滓を去り、頓服する。
(12)婦人經陥りて漏下しK解せ不るは膠薑湯之を主どる。(臣億等校諸本無膠薑湯方想是前妊娠中膠艾湯)
婦人で経脈が陥り、子宮から出血が止まらず、下り物が黒く治らないのには膠姜湯が中心となる。
(宋の淋億先生等は膠姜湯の方はどこにも記載されてなく、思う所は、
これは前方の婦人妊娠中にある膠艾湯の事ではないだろうか)
(13)婦人少腹滿ること敦状の如く小便微難而渇せ不、生後者は此水與血と倶に結ぼれて血室に在りと爲す也。
大黄甘遂湯之を主どる。
婦人で下腹が満ってお椀の様に膨らみ小便に行ってもその量は少なくなかなか出ず、のどは渇かない。
出産した後の者は水と血とが結びついて子宮に在るのである。これには大黄甘遂湯が中心となる。
大黄甘遂湯の方 大黄四兩 甘遂二兩 阿膠二兩
大黄甘遂湯の作り方 大黄4g 甘遂2g 阿膠2g
右の三味を水三升を以て煮て一升を取り、頓に之を服す。其の血當に下るべし。
右の三味を水120tと共に40tになるまで煮詰めて滓を去り、頓服する。その血は当然下る。
(14)婦人經水利下せ不るは抵當湯之を主どる。亦た男子の膀胱滿急しオ(ヤマイダレ+於)血有る者をも治す。
婦人で、子宮からオ(ヤマイダレ+於)血が下らないのには抵当湯が中心となる。
また男性の場合は臍の下部の真ん中の所から膀胱辺りが満って詰まりオ(ヤマイダレ+於)血が有る者をも治してくれる。
抵當湯の方 水蛭三十箇熬 虻蟲三十枚熬翅足去 桃仁二十箇皮尖去 大黄三兩酒浸
抵当湯の作り方 水蛭1.2g熬る 虻虫1.4g熬って羽と足を去る 桃仁1.4g皮尖を去る
大黄3g 酒で浸した後乾かす
右の四味を末と爲し水五升を以て煮て三升を取り滓を去り温めて一升を服す。
右の四味を杵いて末とし、水200tと共に120tになるまで煮詰めて滓を去り、一回40tを温服する。
(もし40t服し終わっても下らない者は、時間を措いて再び40tを温服する)
(15)婦人經水閉じて利せ不藏堅癖止ま不中に乾血有りて白物を下すは礬石丸之を主どる。
婦人で、閉経して出血しなくなり、子宮が堅くなってその中に乾血が有り白い液(こしけ)を下すのには、
礬石丸が中心となる。
礬石丸の方 礬石三兩燒 杏仁一分
礬石丸の作り方 礬石3g焼いて粉末にする 杏仁1g
右の二味を之を末となし煉蜜にて和し棗核大に丸し藏中に内る。劇しき者は再び之を内れる。
右の二味を末とし、煉蜜に混ぜ合せ、棗の核程の大きさにして子宮に差し込んで入れる。
症状が酷い者には再びこれを差し込んで入れてやる。
(16)婦人六十二種の風及び腹中の血氣刺痛は紅藍花酒之を主どる。
婦人の病には六十二種類の血の道の病が有るがその中の風病と腹中の血気の病(月経が始まる前中後の病)
で、差し込む様な痛みには紅藍花酒が中心となる。
紅藍花酒の方(中景方非疑) 紅藍花一兩
紅藍花酒の作り方(これは張仲景の方ではないだろうか疑わしい)
右の一味を酒一大升を以いて煎じて半ばを減じ頓に一半を服す。未だ止まらざれば再服す。
右の一味を酒60tと共に半量まで煮詰め、それを頓服する。
もしもこれを服し終わっても治らなければ再服する。
(17)婦人腹中諸疾痛するは当歸芍藥散之を主どる。(前妊娠中見)
婦人の月経の腹痛には刺痛、切痛、絞痛、鈍痛など様々な痛みがあるが、
どの痛みでも当帰芍薬散が治してくれる。
(前の婦人妊娠病中第五項を見よ)
(18)婦人腹中痛むは小建中湯之を主どる。小建中湯の方(前虚勞中見)
婦人の月経の腹中の痛みが当帰芍薬散で治らなければ小建中湯が中心となる。
小建中湯の作り方(前の血痺虚労病第十三項を見よ)
(19)問ふて曰はく、婦人病みて飮食故の如く煩熱して臥するを得不、而も反って倚息する者は何也。
お伺いします、婦人病を患っていて、飲食は普段と変わらない様だが煩熱(熱がり悶える)して
横になる事も出来ず、しかも物に寄りかかって息をするのはどうしてですか。
師曰はく、此を轉胞と名づく。溺を得不る也。胞系了戻するを以ての故に、此の病を致す。
但だ小便を利すれば則ち愈ゆ。宜しく腎氣丸之を主どるべし。
師匠が言われるには、これは轉胞という名の病で、小便が出ないのである。
輸尿管が曲がっているからこの病になるのである。ただ単に小便を出してやれば直ぐに治る。
それには腎気丸が中心となる。
腎氣丸の方 乾地黄八兩 薯蕷四兩 山茱萸四兩 沢瀉三兩 茯苓三兩 牡丹皮三兩 桂枝一兩 附子一兩炮
腎気丸の作り方 乾地黄8g 薯蕷4g 山茱萸4g 沢瀉3g 茯苓3g 牡丹皮3g 桂枝1g 炮附子1g
右の八味を之を末とし煉蜜に和して梧子大に丸め酒にて十五丸を下す。加へて二十五丸に至る。日に再服す。
右の八味を粉末にし、煉蜜に混ぜ合わせ、0.3gの大きさに丸め酒を用いて一回十五丸服す。
効果が薄い様なら十五丸に加えて一回二十五丸にする。一日二回服用する。
(20)蛇床子散の方 陰中を温むる坐藥 蛇床子仁
蛇床子散は陰中を温める座薬である。
蛇床子散の作り方 蛇床子仁
右の一味之を末とし白粉少許を以て和して相得せ令め棗の大いに如に綿に裹み之を内れる。自然に温まる。
右の一味を粉末にし、米粉少量で混ぜ合わせ、棗の大きさ位にし、それを綿花に包んで膣の中に入れる。
そうすると自然に温まってくる。
(21)少陰の脉滑而數なる者は陰中に即ち瘡を生ず。陰中蝕瘡して爛るる者は狼牙湯之を洗ふ。
足の少陰の太谿穴の脈(腎経)が滑で数の者は、陰中(膣中)に瘡(出来物)ができる。
陰中に蝕瘡(潰瘍)ができて爛れる者は、狼牙湯が主となる。
狼牙湯の方 狼牙三兩
狼牙湯の作り方 狼牙3g
右の一味を水四升を以て煮て半升を取り、綿を以ひ筋を纏せ繭の如にし湯を浸し陰中を瀝ること日に四遍す。
右の一味を水160tと共に20tまで煮詰め、綿を用いて箸に絡ませてマユの様にし、
これに湯薬を含ませて湿布する。一日四回換えてやりなさい。
胃氣下泄し陰吹而正喧なるは此穀氣之實也。膏髮煎之を導く。
胃中の瓦斯(ガス)が下に漏れて陰部から吹き鳴らす様に音を立て全くやかましいのは、
これは穀物から生ずる瓦斯である。これは穀気の実である。
膏髮煎を用いて瓦斯を肛門に導いてあげなさい。
膏髮煎の方(黄疸中見)
膏髮煎の作り方(前の黄疸病中の第十九項を見よ)
(22)小兒疳蟲蝕齒の方(仲景方非疑) 雄黄 テイ(草冠+亭)レキ(草冠+歴)
小児で、甘い物を食べ過ぎた為に生じた虫歯を治す方
(これは張仲景の方ではないのではなかろうか、疑わしい)
小兒疳蟲蝕齒の作り方 雄黄 テイ(草冠+亭)レキ(草冠+歴)
右の二味之を末とし臘月の猪脂を取り鎔し槐枝を以ひ綿にて頭を裹み四五枚藥を點じて之を烙く。
右の二味を末とし、当時の十二月一日頃の豚脂を溶かして槐の枝を用いて、
その頭に綿を包んだ物(綿棒)四〜五本作り、用いる時はその頭を火で焼き、
その頭の先に溶かして混ぜ合わせたものを付けて虫歯に付けてやりなさい。
《婦人雑病脉證并びに治 第二十二》
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