更新日 2013年(平成24年)8月6日〜2024年(令和6年)1月27日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
消渇小便利淋病脉證併せて治・第十三
消渇の病と小便利の病と淋の病の脈状と証候と
それに対する治方を詳しく述べたもの・第十三
(1)厥陰の病爲る消渇し気上りて心を衝き心中疼熱し飢而食するを欲せ不。食すれば即ちカイ(虫+尤)を吐し、
之を下せば止むを肯は不。
厥陰の病は、消渇し気が上って心を衝き心の中が焼ける様に疼み空腹感は有るが食べたくない。
食べると回虫を吐き、これを下すと下痢が止まらなくなる。
(2)寸口の脉浮而遲、浮は即ち虚と爲し遲は即ち勞と爲す。虚は則ち衛氣不足し勞は則ち榮氣竭す。
寸口の脈が浮で遅の場合、その浮は虚で、遅は労(疲労)しているのである。
その虚は衛気の不足から来ていているもので、その労は栄気(血)が竭きているのである。
(3)趺陽の脉浮而數、浮は即ち氣と爲し數なれば即ち消穀而大いに堅し。
趺陽の脈が浮で数、その浮は気であって、数は食べた物が早く消化され、大便が大いに堅くなる。
氣盛んなれば則ちシュウ(サンズイ+叟)數、シュウ(サンズイ+叟)數ければ即ち堅し、堅數相搏てば即ち消渇を爲す。
それで気が盛んになると度々小便に行き、小便がドンドン出て行くと大便が堅くなる。
堅と数が互いに打ち合えば消渇になる。
(4)男子消渇小便反って多く飮一斗を以って小便一斗なるは腎氣丸之を主どる(方見婦人雑病中)
男子の消渇の病で、小便の出方が反って多く、一斗の水を飲めば一斗の小便が出る者には、
腎気丸が主となる。(後方婦人雑病中第十九項を見よ)
(5)脉浮小便不利微熱消渇する者は宜しく小便を利し汗を發すべし。五苓散之を主どる。
脈が浮いて、小便は出ないで微熱が有り消渇する者は、小便が出る様にしてやり汗も発してやりなさい。
それには五苓散が主となる。
(6)渇して水を飮まんと欲し水入れば則ち吐者は名づけて水逆と曰ふ。五苓散之を主どる。(方上見)
のどが渇いて水を飲みたがり、水を飲むと吐き戻してしまう者は水逆の病である。
これには五苓散が主となる。(前方痰飲咳嗽病第三十二項を見よ)
(7)渇して水を飮まんと欲し止ま不る者は分蛤散之を主どる。
のどが渇いて水を飲みたがり幾ら飲んでものどの渇きが止まらない者は分蛤散が主となる。
分蛤散の方 分蛤四兩
分蛤散の作り方 分蛤(ハマグリ)5g
右の一味を杵いて散と爲し沸湯五合を以って和して方寸匕を服す。
右の一味を杵いて散にし、沸騰したお湯20tの中に散2gを混ぜ合わせて服用する。
(8)淋の病は小便粟状の如く小腹弦急し痛み臍中に引く。
淋の病(小便がタラタラと出て気持ちよく排出されない病・尿道炎や膀胱炎や前立腺肥大症等)は、
小便をする時に籾米が尿道を通る様で、下腹がピーンと筋張り詰まって痛みその痛みが臍の中にまで引く。
(9)趺陽の脉數は胃中に熱有り即ち消穀引食し、大便必ず堅く小便即ち數し。
趺陽の脈が数だと、胃中に熱が有るので消穀(消化が良く直ぐに空腹になる)引食(しきりに物を食べたがる)が
行なわれ、大便が必ず堅く小便に度々行く。
(10)淋家は汗を發す可から不。汗を發すれば則ち必ず便血す。
前々から淋を病んでいる者に汗をかかせてはいけない。汗を発すれば必ず便血する。
(11)小便利せ不る者水氣有り。其の人渇を苦しむはカ(木+舌)樓瞿麥丸之を主どる。
小便が出ない者は水気が有る。そういう者でのどが渇いてそれを苦しむ者は、カ(木+舌)樓瞿麦丸が主となる。
カ(木+舌)樓瞿麥丸の方 カ(木+舌)樓根二兩 茯苓 薯蕷各三兩 附子一枚炮 瞿麥一兩
カ(木+舌)樓瞿麦丸の作り方 カ(木+舌)樓根2g 茯苓3g 薯蕷3g 炮附子0.2g 瞿麦1g
右の五味を之を末とし煉蜜にて梧子大に丸め飮にて三丸を服す。日に三服。
右の五味を末にし、錬蜜を用いて0.3gの丸薬を作り、一日三丸を服す。日に三服する。
知ら不れば増して七八丸に至る。小便利し腹中温まるを以って知ると爲す。
効果がみられない時は少し丸の量を増し一回七〜八丸にする。
小便が出て腹中が温まってくれば効果が出たという事である。
(12)小便不利は蒲灰散之を主どる。滑石白魚散や茯苓戎鹽湯も竝びに之を主どる。
それでも小便不利が改善されなければ、第一に蒲灰散が主となる。
それでも効果が無い時は、滑石白魚散や茯苓戎鹽湯もやってみるがよい。
蒲灰散の方 蒲灰七分 滑石三分
蒲灰散の作り方 蒲灰7g 滑石3g
右の二味を杵いて散と爲し飮にて方寸匕を服す。日三服す。
右の二味を杵いて散にし、一回2gを服用する。日に三回服す。
滑石白魚散の方 滑石二分 亂髮二分燒 白魚二分
滑石白魚散の作り方 滑石2g 乱髪黒焼き2g 白魚2g
右の三味を杵いて散と爲し飮にて半錢匕を服す。日に三服す。
右の三味を散にし、一回0.5g服用する。日に三服する。
茯苓戎鹽湯の方 茯苓半升 白朮三兩 戎鹽弾丸大一枚
茯苓戎鹽湯の作り方 茯苓5g 白朮2g 戎鹽2g
右の三味(下闕一本云先將茯苓白朮煎成入鹽再煎分温三服)
右の三味
(諸本煮る方が欠けている。一本によれば先ず茯苓と白朮を煎じ出来上がったら戎鹽を入れ再び火にかけ、
戎鹽が溶解するまで煎じ、三回に分けて日に三回温服する)
(この続きは恐らく、水200tと共に100tまで煮詰めて滓を去り、戎鹽を入れて溶解し、三回に分けて温め服す。であろう)
(13)渇して水を飮まんと欲し口乾舌燥する者は白虎加人參湯之を主どる。(方見中エツ(日+曷中))
のどが渇いて水を飲みたがり、口中がカラカラに燥き舌の上がパサパサに燥く者は、白虎加人参湯が主となる。
(前方痙湿エツ(日+曷)病中第二十六項を見よ)
(14)脉浮發熱渇して水を飮まんと欲し小便利せ不る者は猪苓湯之を主どる。
脈が浮いて発熱してのどが渇いて水を飲みたがり小便が出にくい者は、猪苓湯が主となる。
猪苓湯の方 猪苓皮去 茯苓 阿膠 滑石 澤瀉各一兩
猪苓湯の作り方 猪苓1g皮を去る 茯苓1g 阿膠1g 滑石1g 沢瀉1g
右の五味を水四升を以て先ず四味を煮て二升を取り滓を去り膠を内れヨウ(火+羊)消し七合を温服、日に三服す。
右の阿膠以外の四味を水160tと共に80tまで煮詰めて滓を去り、
その中に阿膠を入れて再び火にかけてかき混ぜながら溶解し、三回に分けて温服する。日に三服する。
《消渇小便利淋病脉證併せて治・第十三》
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