更新日 1990年(平成2年)6月19日〜年(令和5年3月28日)
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
太陰病脉證并びに治・第十
太陰の病の脈状と証候ならびに、それに対する治方を詳しく述べたもの・第十
(1)太陰之病爲る腹滿而吐し食下ら不、自利u甚し、時に自から痛む。
太陰の病とするのは、腹が満って吐いてしまい食べ物が素直に胃に入らず、
大便の回数が多くなれば増々腹が満り、時々腹が痛む。
若し之を下せば、必ず脇下結コウ(革+更)す。
もしもこの太陰病を下すと、必ず胸下が結ばれた様に硬くなる。
(2)太陰の中風四肢煩疼す。陽微陰澁而長き者は、愈えんと欲すると爲す。
太陰の経が風に中てられて、手足が煩疼(疼き悶える)し、陽(寸口)が微で、陰(尺中)が渋で長い者は、
病が癒えようとしている兆候である。
(3)太陰病解せんと欲する時、亥從丑上に至る。
太陰病が解ける時刻は、午後九時から午前三時頃の間である。
(4)太陰病脉浮の者は汗を發す可し。桂枝湯に宜し。
太陰病で脈浮の者は汗を発してやればいい。それには桂枝湯を用いるがよい。
(5)自利して渇せ不る者は太陰に屬す。
便通の回数が多いのに咽が渇かない者は、太陰病に属している。
其の藏に寒有るを以ての故也。當に之を温むべし。宜しく四逆の輩を服すべし。
それは脾臓に冷えが有るからである。だから当然薬を用いて温めてやるべきである。
それには四逆湯の類を服させなさい。
(6)傷寒脉浮而緩、手足自から温かき者は、繋りて太陰に在り、太陰當に身黄を發すべし。
傷寒を病んで脈浮緩の者は、手足が自然に温かくなる。
これは陽経に在る邪熱が裏の太陰に延びているのであり、邪熱が太陰に入ると当然身体が黄色くなるはずである。
若し小便自利する者は、黄を發する能は不。
もしこの場合に小便が出る者は、その小便が出たから熱が外に漏れてしまうので、
黄疸を発せなくなったのである。
七八日に至り暴に煩し、下利日に十餘行と雖も、必ず自から止む。
病が太陰に入ってから七八日目に、病人が急に酷く腹が下りだす場合は、
その回数が一日の中で十回以上有ってもその腹下りは必ず自然に止む。
脾家實し、腐穢當に去るべきを以っての故也。
それは、その下痢によって脾の中が充実し、腹中の腐穢(蒸れた汚いもの)が当然去ってしまうからである。
(7)本太陽病醫反って之を下し、因って腹滿、時に痛む者は、太陰に屬する也。桂枝加芍藥湯之を主どる。
始め太陽病だった時に、医者が見分ける間もなく反ってこれを下し、その為に腹が満って時々痛む者は、
太陰に属したのである。これには桂枝加芍薬湯が中心となる。
(8)太實痛の者は、桂枝加大黄湯之を主どる。
大いに腹中が実して痛む者は、芍薬だけでは力足らないので、
熱を鎮まらせる為に大黄を加えてやりなさい。それには桂枝加大黄湯が中心となる。
(9)太陰病を為し、脉弱、其の人続いて自から便利す。
太陰の病になった時、脈が弱く、太陰が病む前からずっと順調に大便が出ていたのに、
設し當に大黄芍藥を行うべし者は、宜しく之を減ずべし。其の人胃氣弱く動じ易きを以っての故也。
もし腹満や実痛が有る為に、どうしても大黄と芍薬を用いなければならないという場合があれば、
その大黄や芍薬の量を状況に合う様に減らしてやりなさい。
胃気が弱い人に大黄や芍薬を与えると、それにより胃や腸の働きが乱されやすいからである。
《太陰病脉證并びに治・第十》
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