更新日 1990年(平成2年)6月19日〜年(令和5年8月21日)
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
陰陽易差後労復病證併せて治を辨ず・第十四
陰陽易病と病気がほぼ治った後で再発するぶり返しの病の
その両病の病証と併せて治す時に用いられる薬を詳しく述べたもの・第十四
(1)傷寒陰陽易之病爲る、其の人身體重く少氣し、
傷寒の病が全然治らず、尚も餘邪が残っている時に、その病人と健康人とが性行為すると傷寒陰陽易の病を発する。
その証候は身体が重く呼吸に力なく苦しそうに息を切らし、
少腹裏急し、或は陰中に引いて拘攣し、熱上って胸を衝き、頭重くして擧ぐるを欲せず眼中花を生じ、
下腹が詰まり、或は下腹から陰部にかけて引き攣り詰まり、時々下腹から胸へ熱い感じが上っていき、
頭は重く感じて頭を上げたがらず、目にチラチラと花のような模様が見え、
膝脛拘急する者は燒コン(衣偏+昆)散之を主どる。
膝が曲がって伸ばしたくなくなるもので、この証候を表した者は、燒コン(衣偏+昆)散が中心となる。
燒コン(衣偏+昆)散の方 右婦人の中コン(衣偏+昆)隱に近き處を剪り取り、燒いて灰にし水を以て和し方寸匕を服す。
日に三服。
燒コン(衣偏+昆)散の作り方 女性の下着の陰部の当たる所を切り取って黒焼きにして灰にし、水を用いて和し、
1回2g、1日3回服す。
小便即ち利し陰頭微に腫れて則ち愈ゆ。婦人の病は男子のコン(衣偏+昆)を取り當に灰に燒くべし。
男性の場合、小便が直ぐに出て陰頭が少し腫れてくるが直ぐに治る。
女性の場合は、男性の下着の陰頭に当たる所を切り取って黒焼きにして灰にする。
(2)大病差えて後、勞復する者は枳實梔子シ(豆+支)湯之を主どる。
重い病気が治った後で身体を疲れさせた為に病がぶり返り、また以前の様に病証を発した者は、
枳實梔子シ(豆+支)湯が中心となる。
若し宿食有る者は大黄博碁子大の如きを五六枚加ふ。
もし胃中に留まっている飲食が有る者は、枳實梔子シ(豆+支)湯の中に大黄をすごろくの碁石より薄くて小型の物を
五〜六枚加えてやる。
枳實梔子シ(豆+支)湯の方 枳實三枚炙る 梔子十四枚 シ(豆+支)一升綿裏
枳實梔子シ(豆+支)湯の作り方 枳實三枚炙る 梔子十四枚 香シ(豆+支)一升綿に包む
右の三味を清漿水七升を以て空煮して二升を取りシ(豆+支)を下し、更に煮ること五六沸滓を去り温かくして分ちて再服し、
右の三味を水260tと酢10tを混ぜた物を空煮させて160tを取り、その中に枳実と梔子を入れて80tまで煮詰め、
その中に香シ(豆+支)を加えて更に煮ること5〜6沸させて滓を去り、1日2回に分けて温め服す。
覆いて微汗に似たら令む。
衣類や布団で体を覆い、少し汗をかかせてやる。
(3)傷寒差え已って後、更に発熱する者は小柴胡湯之を主どる。
傷寒が治ったばかりなのに、また発熱してきた者は、小柴胡湯が中心となる。
脈浮なる者は汗を以て之を解し、脉沈實なる者は下を以て之を解す。
この場合、脈浮の者だと汗が出て解けるし、脈が沈実だと大便が出て解ける。
(4)大病差えて後、腰從り已下に水氣有る者は牡蠣澤瀉散之を主どる。
大病が治った後、腰から下に水腫が生じてそれが除かない者は、牡蠣澤瀉散が中心となる。
牡蠣澤瀉散の方 牡蠣熬る 澤瀉 カ(木+舌)樓根 蜀漆洗い腥去 テイ(草冠+亭)レキ(草冠+歴)熬る
商陸根熬る 海藻洗い鹹去 已上各等分
牡蠣澤瀉散の作り方 牡蠣熬る 澤瀉 カ(木+舌)楼根 蜀漆洗って腥を去る テイ(草冠+亭)レキ(草冠+歴)熬る
商陸根熬る 海藻洗って鹹を去る 以上各等分
右七味を異に搗き篩い下し散と爲し、更に臼中に入れ之を治め白飮に和し、方寸匕を服す。
小便利すれば後を止む。日に三服。
右の七味を各々別に搗いて篩にかけて散にし、更に臼に入れてよく搗いて混ぜ合わせ、重湯と混ぜ合わせて2gを服す。
もしよく小便が出だしたら服すのを止める。それまでは1日3回服す。
(5)大病差えて後喜んで唾はき久しく了了とせ不る者は、胃上に寒有り。當に丸藥を以て之を温むべし。理中丸に宜し。
大病が治った後、生唾が出始めていつまでもサッパリ止まらない者は胃の辺りに冷えが有るからである。
当に丸薬を用いてそこを温めてやれ。それには理中丸が良い。
(6)傷寒解後、虚羸少氣し氣逆して吐せんと欲する者は竹葉石膏湯之を主どる。
傷寒の熱が解れた後で、病の為に体が疲れ、息遣いが酷く、気が下から突き上げてその度に吐きそうになる者は、
竹葉石膏湯が中心となる。
竹葉石膏湯の方 竹葉二把 石膏一斤 半夏半升洗ふ 人參三兩 甘艸炙る 粳米半斤 麦門冬一升心を去る
竹葉石膏湯の作り方 竹葉2g 石膏16g 半夏5g洗う 人参3g 甘草2g炙る 粳米7g 麦門冬10g心を去る
右七味を水一斗を以てニ(者+火)て六升を取り、滓を去り、粳米を入れてニ(者+火)て米熟すれば湯成る米を去り、
温服一升、日に三服。
右の粳米以外の六味を水400tと共に240tになるまで煮詰め、滓を去り、粳米を入れて再び煮詰め、
米が熟したら粳米を去り、1日3回、1回量40tを温めて服する。
(7)病人脉已に解而日暮に微煩するは病新に差えたえれば、
病人の病も治り、脈もすでに解かれた者が、日が暮れた時に軽く熱が出たり又は少し悶えたりする場合、
これは穀物の消化不良により起こったものであり、それは病が治りたてで
人強いて穀を與へたるも脾胃の氣尚ほ弱きを以て穀を消化する能はず。故に微煩せ令む。穀を損ずれば則ち愈ゆ。
未だ脾胃の気も弱く消化する力も無いのに、側にいた人が無理に穀物を食べさせた為に病が起こったのである。
後の食物を減らしてやれば愈ゆるものである。
《陰陽易差後労復病證併せて治を辨ず・第十四》
↑このページのTOPに戻る↑
←トップページに戻る