更新日 2012年(平成24年)7月10日〜2023年(令和5年)12月27日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
腹滿寒疝宿食病脉證治・第十
腹満、寒疝、宿食の病の脈状と証候ならびに、
それに対する治方を詳しく述べたもの・第十
(1)趺陽の脉微弦なれば當に腹滿すべし。滿せ不る者は必ず便難く兩キョ(月+去)疼痛す。此れ虚寒下從り上る也。
當に温藥を以って之を服すべし。
趺陽の脈が微弦になれば当然腹満が起こる。腹が満らない者は必ず大便が出にくく両脇の下が疼き痛む。
これは体の血虚と外より侵入した寒気とが相戦い腹へは入らず下から上がって来る為だから、
当然そういう時は温薬を服させなさい。
(2)病者腹滿之を按じて痛ま不るを虚と爲し、痛む者は實と爲す。舌黄未だ下さざる者は之を下せば黄自から去る。
病んで腹満している者の腹中を押えて痛まないのは虚であり主にガスが腹に溜まっているのである。痛めば実である。
実で舌の上が黄色く未だ一度も下していない者はこれを下してやれば舌の黄色も自然に取れる。
(*腹膜炎でガスが溜まっている時に圧痛が有るので注意、そういう者は下してはいけない)
(3)腹滿時に減じ復た故の如きは之を寒と爲す。當に温藥を與ふべし。
腹満が時々小さくなったり大きくなったりするのは、これは寒がそうさせるのである。
当然温薬を与えてやりなさい。
(4)病者痿黄燥而渇せ不胸中寒實而利止ま不る者は死す。
病人の肌が血の色が悪く黄がかったくすんだ色(黄疸)をして体が怠く手足をバタバタと動かしたりもがき、
のどは渇かず、胸中の陽気が衰えて寒えて胸が一杯になった様になり下痢が止まない者は死ぬ。
(5)寸口の脉弦なる者は即ち脇下拘急而痛み、其の人嗇嗇と惡寒する也。
寸口の脈が弦の者は、脇下が引き攣り痛み、ゾクゾクと悪寒するものである。
(6)夫れ中寒家は喜欠し其の人涕出で發熱色和する者は善嚏す。
大体度々寒に中てられる人は、よく欠伸が出て普段から水溶性の鼻汁を垂らし、
発熱して顔色が赤くはならず普通の色をしている。そういう者は度々くしゃみをする。
(7)中寒其の人下利するは裏虚するを以って也。嚏せんと欲して能は不、此の人肚中寒ゆ。(一云痛)
寒に中てられて下痢をするのは裏が虚しているからである。くしゃみをしそうになるが出ないのは、
この人の腹か胃袋が冷えているからである。
(8)夫れ痩人臍を繞りて痛めば必ず風冷有りて穀氣行か不。
大体痩せている人は臍を中心にその回りが痛めば必ず風冷(ガスなどが溜まっている)が有る為、
穀物の精気が巡らないのである。
而るに反って之を下せば其の人氣必ず衝せ不。衝せ不る者は則ち痞す。
だから温めてその風冷を除き穀気を巡らさなければならないのに、その反対にこれを下せば、
その気が必ず上衝する。もしも上衝しない者は心下が痞えてくる。
(9)病腹滿發熱十日、脉浮而數、飮食故の如きは厚朴七物湯之を主どる。
病んで腹満と發熱が十日続いて脈が浮数で、熱が有るのにいつも通り食べられる者は、厚朴七物湯が中心となる。
厚朴七物湯の方 厚朴半斤 甘艸 大黄各三兩 大棗十枚 枳實五枚 桂枝二兩 生薑五枚
厚朴七物湯の作り方 厚朴8g 甘草3g 大黄3g 大棗3g 枳実3.5g 桂枝2g 生姜5g
右の七味を水一斗を以って煮て四升を取り温めて八合を服す。日に三服。
右の七味を水400tと共に160tまで煮詰めて滓を去り、一回64tずつ温めて服す。一日三回服す。
嘔する者には半夏五合を加ふ。下痢する者は大黄を去る。寒多き者には生薑を加へて半斤に至る。
嘔する者には半夏5gを加える。下痢する者は大黄を去る。寒が多い者には生姜を4.8g加える。
(10)腹中寒氣雷鳴切痛、胸脇逆滿、嘔吐、附子粳米湯之を主どる。
腹中が寒気に中てられて腹がゴロゴロと鳴る度に腸が切られる様に痛く、胸や脇にかけて下から押し上げて来る様に満り、
ムカムカして吐く者は附子粳米湯が中心となる。
附子粳米湯の方 附子一枚炮 半夏半斤 甘艸一兩 大棗十枚 粳米半斤
附子粳米湯の作り方 附子0.2〜0.3g炮る 半夏5g 甘草1g 大棗3g 粳米(うるち玄米)7g
右の五味を水八升を以て煮て米熟すれば湯成る。滓を去り、温めて一升を服す。日に三服。
右の五味を水320tと共に火にかけ、米が熟して柔らかくなるまで煮詰めて滓を去り、一回40tずつ服用する。
一日三回温め服す。
(11)痛んで閉ずる者は厚朴三物湯之を主どる。
便秘して腹が脹り大いに痛む者には厚朴三物湯が中心となる。
厚朴三物湯の方 厚朴八兩 大黄四兩 枳實五枚
厚朴三物湯の作り方 厚朴8g 大黄4g 枳実3.5g
右の三味を水一斗二升を以て先ず二味を煮て五升を取り大黄を内れ、煮て三升を取り温めて一升を服す。
利するを以って度と爲す。
右の三味の中の厚朴と枳実を水480tと共に200tまで煮詰め、その中に大黄を内れて120tになるまで煮詰めて滓を去り、
一回40tを温めて服す。大便が出れば残りは服用しない。
(12)之を按じて心下滿痛する者は之を實と爲す也。當に之を下すべし。大柴胡湯に宜し。
みぞおちを押えてみて満って痛む者は、これは実証である。当然これを下してやりなさい。
それには大柴胡湯が良い。
大柴胡湯の方 柴胡半斤 黄ゴン(草冠+今)三兩 芍藥三兩 半夏半升洗ふ 枳實四枚炙
大黄二兩 大棗十二枚 生薑五枚
大柴胡湯の作り方 柴胡8g 黄ゴン(草冠+今)3g 芍薬3g 半夏5g 枳実2.8g 大黄2g 大棗4g 生姜5g
右の八味を水一斗二升を以て煮て六升を取り滓を去り、再び煎じて三升を取り温めて一升を服す。日に三服。
右の八味を水480tと共に240tまで煮詰めて滓を去り、再び火にかけて120tまで煮詰めて一回40tずつ温め服す。
一日三回服す。
(13)腹滿減せ不、減ずるも言ふに足ら不るは當に須く之を下すべし。大承氣湯に宜し。
腹満して時々満りが減じるがまた元に戻る者は、当然下してやればいい。それには大承気湯が良い。
大承氣湯の方(見前痙病中)
大承気湯の作り方 (前方の痙濕エツ(日+曷)病の第十三項を見よ)
(14)心胸中大いに寒痛し嘔して飮食する能は不腹中寒え上へ皮を衝いて起り出で見れ、
心臓や胸中が大いに冷えて痛み、吐き気を催して飲食することが出来ず、
腹中の寒が内部から上へ腹の皮の方へ突き上げ、腹の中に生き物でも居るかの様にムギュムギュと動き、
頭足有って上下し痛んで觸れ近づく可から不るは大建中湯之を主どる。
その動きがまるで頭や足が有る様に上から下へ行ったり来たりしてはその度に酷い痛みで触る事も出来ない者には、
大建中湯が中心となる。(腹部軟弱無力の者や大いに腹がパンパンに張っている者もいる)
大建中湯の方 蜀椒二合汗去 乾薑四兩 人參二兩
大建中湯の作り方 蜀椒0.3g 乾姜4g 人参2g
右の三味を水四升を以て煮て二升を取り滓を去り、膠飴一升を内れ微火而煎じ一升半を取り、分け温め再び服す。
右の三味を水160tと共に80tまで煮詰めて滓を去り、膠飴26gを加えて弱火で60tまで煮詰めて二回の分けて温め服す。
一炊頃の如くにして粥二升を飮む可し。後更に服す。當に一日は糜を食し之を温覆す。
薬を服した後、三十分位して粥100tを飲ませ、その後二回目も更に粥を飲ませる。
その一日は当然柔らかい米か粥を食して温かい薬と温かい粥を服させなさい。
(15)脇下偏痛發熱、其の脉緊弦此れ寒也。温藥を以って之を下せ。大黄附子湯に宜し。
脇下の片方だけが痛んで発熱しその脈が緊弦は寒証である。当然温薬をもってこれを下してやりなさい。
それには大黄附子湯が良い。
大黄附子湯の方 大黄三兩 附子三枚炮 細辛二兩
大黄附子湯の作り方 大黄3g 炮附子0.6g 細辛2g
右の三味を水五升を以て煮て二升を取り分かち温めて三服す。
右の三味を水200tと共に80tになるまで煮詰めて滓を去り、三回に分けて温め服す。
若し強き人は煮て二升半を取り、分け温めて三服す。服したる後人の四五里を行くが如くにして一服を進む。
もし体格のガッチリした者で便秘症であれば100tになるまで煮詰めた位にしてそれを三回に分けて温服する。
三回分服す時は間隔を二〜四時間が良い。
(16)寒氣厥逆、赤丸之を主どる。
寒気に侵されて手足が甚だしく冷え、上より胸腹中が痛む者には赤丸が中心となる。
赤丸の方 茯苓四兩一方桂用 半夏四兩洗ふ一方桂用 烏頭二兩炮一方桂用 細辛一兩 (千金作人參)
赤丸の作り方 茯苓4g 半夏4g 烏頭2g 細辛1g
(千金は細辛を用いて人参は用いず、更に附子2g射罔一枚大棗一枚有り。凡そ六味)
右の六味、之を末とし眞朱を内れて色と爲し煉蜜にて麻子大の如く丸め、食に先だち酒飮にて三丸を下す。
日に再びし夜一服す。知ら不れば稍之を増し知るを以って度と爲す。
右の六味を末とし、その中に朱砂を入れて黄色にし、蜂蜜で和した後、一丸0.1gの丸剤を作り、
食前に酒で一回三丸服す。朝昼夕晩服す。大便を催さなければ少し量を増やしてやり、大便が出ればそれを一回量とする。
(17)腹痛脉弦而緊、弦は則ち衛氣行かず即ち惡寒す。緊は則ち食を欲せず。邪正相搏即ち寒疝を爲す。
腹痛が有り、脈は緊弦で、その弦は衛気が廻らないから悪寒がするのである。(外に寒有り)
緊は裏寒であるから脾胃の気が抑えられ消穀が引食されず食欲が無い。
邪気と正気とが互いに打ち合うから気が通じなくなり寒疝になるのである。
寒疝臍を繞りて痛み、若し發すれば則ち自汗出で手足厥冷。其の脉緊弦なる者は、大烏頭煎之を主どる。
上記の様な理由から生じた寒疝で、その痛みが臍を廻る。もしこの様に痛みが発する度に油汗が出て手足が厥冷し、
その脈が緊で弦になる者は、大烏頭煎が中心となる。
烏頭煎の方 烏頭大なる者五枚熬り皮を去りフ(口+父)咀不
烏頭煎(大烏頭煎)の作り方 烏頭大の物五枚熬って皮を去り刻まない
右を三升以って煮て一升を取り滓を去り二升を内れ煎じ水氣を盡さ令め二升を取り、
強人は七合を服し、弱人は五合を服す。差え不れば明日更に服す。一日に再服す可から不。
右を水120tと共に40tまで煮詰めて滓を去り、蜜80tを入れて更に煎じて水気を飛ばし、
丈夫な人は28tを服し、虚弱な人は20tずつ服用する。もし一回服しても治らなければ明日更に服す。
一日二回服してはいけない。
(18)寒疝、腹中痛み及び脇痛裏急するは当歸生薑羊肉湯之を主どる。
寒疝(冷えて痛む病)で腹中が痛む者や冷えから来て脇腹が引き攣れてキューっと痛む者には、
当帰生姜羊肉湯が中心となる。
当歸生薑羊肉湯の方 当歸三兩 生薑五兩 羊肉一斤
当帰生姜羊肉湯の作り方 当帰3g 生姜5g 羊肉16g
右の三味を水八升を以て三升を取り温めて七合を服す。日に三服。
右の三味を水320tと共に120tまで煮詰めて滓を去り、一回30tずつ温めて服す。一日三回服す。
若し寒多き者は少薑を加へて一斤と成し、痛み多く而嘔する者は橘皮二兩白朮一兩を加へ、
生薑を加ふる者は復た水五升をも加へ煮て三升二合を取り之を服す。
もし寒が多い者は生姜を更に多くして全量16gにし、痛みが多く嘔する者は橘皮2gと白朮1gを加え、
生姜を加える場合は水200t増量して煮て195tを取り、それを四回に分ける。
(19)寒疝腹中痛み逆冷手足不仁若しくは身疼痛し灸刺諸藥治する能は不るは抵当烏頭桂枝湯之を主どる。
寒疝で腹中が痛み、手足の先から冷え上がり手足が痺れて自由が利かず、又は身がジッとしていられない位に痛み、
お灸や鍼や様々な薬等も用いれず全く手の付けようの無い者には抵当烏頭桂枝湯が中心となる。
烏頭桂枝湯の方 烏頭
烏頭桂枝湯の作り方 烏頭1.6〜2.4g
右の一味を蜜二斤を以って煎じて半ばを減じ滓を去り、桂枝湯五合を以って之を解し一升を得て後初め二合を服さ令め、
右の一味を蜜32gと共に煮て半量て滓を去り、煎じ終えた桂枝湯を20t加えてよくかき混ぜ、初めは1/5量を与え、
知ら不れば即ち三合を服す。又知ら不れば復た加へて五合に至らしむ。
其の知る者は醉状の如し吐を得る者は病に中ると爲す。
効果が無ければ残りの3/8量を与え、尚も効果が無い時は残り全部を服す。
服薬後に酒に酔った様になった時に初めて効果が出る。
桂枝湯の方 桂枝三兩皮去 芍藥三兩 甘艸二兩炙 生薑三兩 大棗十二枚
桂枝湯の作り方 桂枝3g皮を去る 芍薬3g 甘草2g炙る 生姜3g 大棗4g
右の五味を刻み水七升を以て微火にて煮て三升を取り滓を去る。
右の五味を刻み水280tと共に120tまで煮詰めて滓を去る。
(20)其の脉數而緊、乃ち弦状ち弦の如く之を按じて移ら不、脉數弦なる者は當に其の寒を下すべし。
その人の脈が数緊その上弦を帯び、これを触ってみるとピーンと張って左右どちらにも移動しない。
脈数(陽熱)弦(寒)の者は、当然その寒を下してやりなさい。
脉緊大而遲なる者は必ず心下堅し、脉大而緊なる者は陽中陰有り。之を下す可し。
脈が緊大遅の者は、必ず心下が堅くなってる。脈が大(陽)で緊(陰)の者は、陽中に陰が有る。
これは裏が実しているのだからこれを下してやりなさい。(大黄附子湯など)
(21)附方 外臺烏頭湯は寒疝腹中絞痛賊風入りて五臓を攻め拘急轉側するを發作時有り、
人陰縮まり手足厥逆せ令むるを治す。 方見上
附方 外台の烏頭湯は、寒疝で腹中が縛られている様に痛み、悪い風が入ってきて五臓を攻め、
腹内が引き攣る為に寝返りをすることが出来ず、時々発作的に病人の陰部が縮まり引き攣ってしまい手足逆冷するのを治す。
中風歴節病中の方を見なさい。
(22)外臺柴胡桂枝湯は心腹卒中痛する者を治す。
外台の柴胡桂枝湯は胸中や腹中が急に痛みだして止まらない者を治す。
柴胡桂枝湯の方 柴胡四兩 黄ゴン(草冠+今) 人參 芍藥 桂枝 生薑各一兩半 甘艸二兩 半夏二合半 大棗六枚
柴胡桂枝湯の作り方 柴胡4g 黄ゴン(草冠+今)1.5g 人参1.5g 芍薬1.5g 桂枝1.5g
生姜1.5g 甘草1g 半夏2.5g 大棗2g
右の九味を水六升を以て煮て三升を取り温めて一升を服す。日に三服。
右の九味を水280tと共に120tまで煮詰めて滓を去り、一回40tずつ温め服す。一日三回服す。
(23)外臺走馬湯は、虫惡心痛腹脹大便通ぜ不るを治す。
外台の走馬湯は、悪い物(水中り、食中り、毒中り等口から入って来るもの。毒気、邪湿、寒水等外から来るもの。)に
中てられて心が痛み、腹が脹って大便が出ない者を治す。
方 芭豆二枚皮心去熬 杏仁二枚
走馬湯の作り方 芭豆殻と皮心を去って熬る 杏仁2個
右の二味を綿を以って纒ひ槌して碎か令め熱湯二合にて捻りて白汁を取り之を飮む。當に下るべし。
老や小は之を量れ。通じて飛尸鬼撃病を治す。
右に二味を布に包み、上から槌で打ち砕き熱湯40tの中に入れて指先で練り、軽く絞って白い汁を取りこれを飲ます。
老人や小児はその量を加減してやりなさい。これを服せば下痢が起こり、突然気絶して死んだ様になる者や、
突然鬼の様な目に見えないものから撃たれでもした様に痛み苦しむ者を治す。
(24)問ふて曰く、人病みて宿食有るは何を以って之を別たむ。
お伺いします、人が病気になって宿食が在るというのは何をもってこれを区別して考えるのでしょうか。
師の曰く、寸口の脉浮而大之を按ずれば反ってショク(シ+嗇)、尺中も亦微而ショク(シ+嗇)、故に宿食有るを知る。
大承氣湯之を主どる。
師匠が言う、それは寸口の脈が浮で大で、これを触ってみると反って渋り、尺中の脈もまた寸口の脈の様で、
押すと微で渋であるから宿食が在るのが判るのである。これには大承気湯が中心となる。
(25)脉數而滑なる者は實也。此れ宿食有り。之を下せば愈ゆ。大承氣湯に宜し。
脈が数(熱)で滑(実)の者は内が実している。これは内に宿食があるのである。これを下してやれば治る。
それには大承気湯が良い。
(26)下利食を欲せ不る者は宿食有る也。當に之を下すべし。大承氣湯に宜し。
下痢をしているのに食欲が出ない者は宿食があるからである。当然これを下してやりなさい。
それには大承気湯が良い。
大承氣湯 見前痙病中
大承気湯の作り方は痙湿エツ(日+曷)病中を見なさい。
(27)宿食上カン(月+完)に在るは當に之を吐すべし。瓜蒂散に宜し。
宿食が上カン(月+完)(胃中の上部・経穴名)に在る時は当然吐かせなさい。それには瓜蒂散が良い。
瓜蒂散の方 瓜蒂一分熬黄 赤小豆一分煮
瓜蒂散の作り方 瓜蒂2.5g黄色になるまで熬る 赤小豆2.5g煮る
右の二味を杵いて散と爲し、香シ(豆+支)七合を以って煮て汁を取り散一餞匕和し、温めて之を服す。
右の二味を杵いて散にし、その散を1g取り別に香シ(豆+支)1.4gを熱湯30tと共に煮て粥状にし、
香シ(豆+支)を去った汁を取り、その中に散にしておいた散1gを加えて混ぜ合わせたものを温めて服用する。
吐か不る者は少しく之を加へ、快く吐するを以て度と為して止む。亡血及び虚なる者には之を與ふ可から不。
もし一回分服しても吐かない者は、更に少し散の量を増やして与えてやりなさい。
吐けばそれが適量であるから後は服用しない。貧血や虚弱な者には瓜蒂散を与えてはいけない。
(28)脉緊轉索の如く常無き者は宿食有る也。
脈が緊で、その具合が縄の様にゴロゴロとして定まりが無い者は宿食が在るのである。
(29)脉緊頭痛風寒あるは腹中に宿食有りて化せ不る也。(一云寸口脉緊)
脈が緊で、頭痛がして寒さを感じやすい者は、腹中に宿食が在って消化されていないからである。
《腹滿寒疝宿食病脉證治・第十》
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