更新日 2012年(平成24年)7月5日〜2023年(令和5年)11月25日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
奔豚気病脉證治・第八
奔豚気病の脈状と証候並びにそれに対する治方を明細に述べたもの。第八
(1)師の曰はく、病に、奔豚有り、吐膿有り、驚怖有り、火邪有り。
師匠が言う、奔豚気病には四種類あり、豚が突っ走る様になりふり構わず急いで逃げるように
向こう見ずに駆け出してしまいたい程の気持ちになる病と、膿を吐く病と、驚き恐れる病と、
火によって刺激を与えられて生じる病がある。
此四部の病は、皆驚從り發して之を得る。
この四種類の病は、皆驚きが原因でなったものである。
(2)師の曰はく、奔豚病は少腹從り起り、上って咽喉を衝き、
發作すれば死せんと欲すれども復た還り止む。皆驚怖從り之を得。
師匠が言う、奔豚病は下腹から起こって咽喉に突き上げ始まった時には死んでしまうのではないかと思わせるようだが、
またスーッと治まってしまう病の事で、これは皆驚き恐れる事からなるものである。
(3)奔豚氣上衝、胸腹痛、往來寒熱、奔豚湯、之を主どる。
奔豚で、気が上衝し、胸や腹が痛み、熱くなったり寒くなったりする者は、奔豚湯が中心となる。
奔豚湯の方 甘艸二両 キュウ(草冠+弓)窮二両 當歸二両 半夏四両 黄ゴン(草冠+今)二両
生葛五両 芍藥二両 生薑四両 甘李根白皮一升
奔豚湯の作り方 甘草2g キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)2g 当帰2g 半夏4g 黄ゴン(草冠+今)2g
生葛5g 芍薬2g 生姜4g 甘李根白皮5g
右の九味を水二斗を以て、煮て五升を取り、一升を温め服す。日に三、夜に一服。
右の九味を水800tと共に煮て200tまで煮詰めて滓を去り、
一回40tを温め服す。一日に朝昼夕晩に服す。
(4)汗を發して後、燒針し、其れをして汗せしめ、針処寒を被り、核起こって赤き者は、必ず賁豚を發す。
発汗させた後、焼針をして汗を取ったところ、その針を刺した場所が冷えた為に気血の巡りが悪くなってしこりができ、
紅く色付く者は、必ず奔豚を発する。
氣少腹從り上って心に至るは、其の核上に灸する。各一壮桂枝加桂湯を与へ、之を主どる。
気が下腹から心に突き上げる者には、その針をした所へ各一壮ずつ灸をすえ、その上桂枝加桂湯を与えれば治る。
桂枝加桂湯の方 芍藥三兩 桂枝五兩 甘艸二兩炙 生薑三兩 大棗十二枚
桂枝加桂湯の作り方 芍薬3g 桂枝5g 甘草2g炙る 生姜3g 大棗4g
右の五味を水七升を以て微火にて煮て三升を取り、滓を去り、温めて一升を服す。
右の五味を水280tと共に弱火で120tまで煮詰めて滓を去り、一回40tずつ温めて服す。
(5)汗を發して後、臍下悸する者は、賁豚を作さんと欲す。茯苓桂枝甘艸大棗湯之を主どる。
発汗させた後臍下で動悸する者は奔豚を起こしそうになっているのである。これには茯苓桂枝甘草大棗湯が中心となる。
茯苓桂枝甘艸大棗湯の方 茯苓半斤 甘艸三兩炙 大棗十五枚 桂枝四兩
茯苓桂枝甘草大棗湯の作り方 茯苓8g 甘草3g炙る 大棗5g 桂枝4g
右の四味を甘爛水一斗を以ひ、先ず茯苓を煮て二升を減らし、諸藥を内れ、煮て三升を取り、
滓を去り、温めて一升を服す。日に三服。
先ず右の茯苓と甘爛水400tを80t程減らし、後の薬を入れて120tになるまで煮詰めて滓を去り、
一日三回、一回40tずつ温め服す。
甘爛水の法、水二斗を取り、大なる盆の内に置き、杓を以て之を揚げ、
水上に珠子五六千顆相逐く有らば取りて之を用う。
甘爛水の作り方 水400tを浅いお盆に入れ、空気がよく入る様に杓子を用いてよくかき上げて回し、
十分に空気を吸い込ませて小泡を無数に生じさせたものを用いる。
《奔豚気病脉證治・第八》
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