更新日 2006年(平成18年)5月17日〜2023年(令和5年)11月15日
※ 私なりの解釈なので、あくまでも参考までに。
※ 突然の解説変更ございます。
血痺虚勞病脉證并びに治 第六
血痺病(過労による血の不足の痺)と虚労病(過労による血の不足)の脈状と証候ならびに、
それに対する治方を詳しく述べたもの・第六
(1)問うて曰はく、血痺の病、何に從りて之を得るか。
お伺いします。血痺の病は何に因ってなるのですか。
師の曰はく、夫れ尊榮の人は骨弱く、肌膚盛重なるに疲勞して汗を出し、
師匠が言うには、それは極めて暮らしの裕な身分の高い人は、幼少の頃から務めて大切に育ててしまうので骨に力が加わらず、
見かけは立派でも身が丈夫でなく、肌は色好く艶々していて、そういう者が運動をし過ぎて疲労して汗を出したり、
臥して不時に動搖し、加うるに微風を被るに因りて遂に之を得、
房事をし過ぎたりして、その時に少しの風の気等を受けることに因り生ずるものである。
但だ脉微ショク(シ+嗇)寸口に在り、關上小緊なるを以て宜しく鍼して陽氣を引き脉をして和せしめ、緊去れば則ち愈ゆ。
但だ単に、脈は寸口が微渋で関上が小緊になっている者は、針を用いて陽気を不足している所へ引いて補い、
これに因って脈を和ませてやり、緊が去れば脈が穏やかになって癒えるのだ。
(2)血痺陰陽倶に微、寸口關上微、尺中小緊、外證身體不仁、風痺の状の如きは、黄耆桂枝五物湯之を主どる。
血痺の病人で、陰陽が共に微で、その脈は寸口も関上も微で尺中が小さくて緊を表し、病人の容態は身体が不自由で、
その様子が中風病の人の様に半身にも及ぶか痺病の様に一部に限られているかの様な者は、黄耆桂枝五物湯が中心となる。
黄耆桂枝五物湯の方 黄耆(三兩) 芍藥(三兩) 桂枝(三兩) 生薑(六兩) 大棗(十二枚)
黄耆桂枝五物湯の作り方 黄耆3g 芍薬g 桂枝3g 生姜6g 大棗4g
右五味を水六升を以て煮て二升を取り、七合を温め服す。日に三服。(一方人参有り)
右の五味を水240tと共に80tまで煮て取り、1日3回、温めて服す。
(この処方に人参が加えられたものも有る)
(3)夫れ男子平人脉大なるを勞と為す。極虚も亦勞と為す。
男子や普通の人であって脈大(*押えると凹む脈)なる者は労とし、極めて身体が虚している者も又労とする。
(大いに汗を発したり、大いに下したり、大いに吐かせたりする者も極虚となる)
(4)男子面色薄き者、渇及び亡血を主どる。卒に喘悸し、脉浮なる者は、裏虚也。
男の人で顔色さえず艶の無い者は、喉が渇き血が少ないという表れである。
急に胸がゼェゼェ言ったり心臓がドキドキしたりして脈が浮になる者は、身体の中が虚しているのだ(腎虚)。
(5)男子脉虚沈弦寒熱無く、短氣、裏急、小便不利、面色白く、時に目瞑、衄を兼ね、少腹満、此勞之をして然らしむ。
男の人で脈が虚沈弦で、寒や熱は無く息切れして腹壁筋が伸びない感じが有り小便が出にくく顔色白く
時に目がかすんだり目が眩んで物が見えにくくなったり鼻血が出たり下腹が張る者は、これは労がそうさせたのだ。
(6)勞の病為る、其の脉浮大、手足煩春夏劇しく、春冬イ(ヤマイダレ+差)え、陰寒え、精自から出で、酸削行ふ能は不
労の病というものは、その脈が浮大(押すと凹む)で手足が火照って煩わしく、春夏に酷くなり、秋から冬は愈え、
陰部が冷えて精液がひとりでに漏れ、身体が気怠く弱り細って動作することが出来ない。
(7)男子脉浮弱にしてショク(シ+嗇)、子無しと為す。精氣清冷す。
男の人で脈浮で弱々しく渋脈の者は子が出来ない。それは精気(腎)が冷え澄みきっているからである。
(8)夫れ、失精家は、少腹弦急陰頭寒目眩(一作目キョウ(目+匡)痛)髪落す。脉極虚コウ(草冠+孔)遲は、清穀亡血失精と為す。
現在、平常精液を漏らす人は、下腹が筋張って詰まる感じがし、陰部の付け根が冷える感じが有り目眩がし、抜け毛が多い。
脈は酷く虚しコウ(草冠+孔)(押すと凹んで戻る気配が無く葱を押すと同じ脈)遅い脈の者は、下痢の回数及び量が多く、
身体の液を失い、血が燥いて精液を失うのだ。
脉を諸のコウ(草冠+孔)動微緊に得て、男子は失精、女子は夢交するは桂枝加竜骨牡蛎湯之を主どる。
脈が上記の様でなくてもコウ(草冠+孔)で少し動きが緊になっている男の人は精液を失う。女の人はおりものが多くなる。
そういう者には桂枝加竜骨牡蠣湯が中心となる。
桂枝加竜骨牡蛎湯の方
(小品に云ふ、虚弱浮熱汗出る者は桂を除や白微附子各三部を加う。故に二加竜骨湯と日ふ。)
桂枝加竜骨牡蠣湯の作り方
(小品という書物の記載から、虚弱で脈浮で熱がって汗が出る者は桂枝を去って白薇と附子各三分を加える。
だから二加龍骨湯と言う。)
桂枝三兩 芍藥三兩 生薑三兩 甘艸二兩 大棗十二枚 竜骨三兩 牡蛎三兩
桂枝3g 芍薬3g 生姜3g 甘草2g 大棗4g 龍骨3g 牡蛎3g
右七味を水七升を以て煮て三升を取り、分ち温めて三服す。
右の七味を水280tと共に120tまで煮詰め、3回に分けて温め服す。
天雄散の方 天雄三兩炮 白朮八兩 桂枝六兩 龍骨三兩
天雄散の作り方 天雄3g炮く 白朮8g 桂枝6g 龍骨3g
右四味を杵いて散と為し、酒にて半錢匕を服す。日に三服。知ら不れば稍之を増す。
右の四味を杵いて散とし、酒で1回量0.5g服す。1日3回服す。もしも効き目が表れない時は少し服用量を増やしてやれ。
(9)男子平人脉虚弱細微の者は、喜盗汗する也。
男の人やお金持ちでない普通の人で、脈が虚弱細微の者はしばしば寝汗をかく。
(10)人年五六十其の病脉大なる者、ヒ(ヤマイダレ+田+Π)侠背行腸鳴を苦しみ、馬刀侠エイ(ヤマイダレ+嬰)の者、
皆勞に之を得ると為す。
50〜60歳の人が病を受けて脈大(押すと凹む)になる者は、痺病(痛み含む)が背中に沿って腸鳴を苦しみ、
耳前から顎を通って頸にかけて馬が首飾りを付けているかの様で触るとグリグリとした物が
出来る病(おでき或はリンパ節の腫れ)の者は、全部過労から生じたものである。
(11)脉沈小遲脱氣と名づく。
脈沈で小さくて遅いのを脱気(気が抜けた状態)という。
其の人疾行すれば則ち喘エツ(日+曷)手足逆寒、
病人が急ぎ足になったり駆け出したりすると乍ち息切れがして咽がゼイゼイして口中がはしゃいで
声も急にはハッキリと出ず、手足の指先が寒さを感じて縮みやすく又は痺れやすくなり、
腹滿甚だしければ則ち溏泄し、食消化せ不る也。
病が激しい時は、腹満の上に更に腹が下って便を漏らし食物が消化しない。
(12)脉弦にして大、弦は則ち減と為し、大は則ちコウ(草冠+孔)と為す。
脈が弦で大は、弦は則ち陽気の減少をもって減とし、大は則ち血虚気実をもって大だが、
押すとぺコンと凹んで手ごたえの無いコウ(草冠+孔)脈となる。
減は則ち寒と為し、コウ(草冠+孔)は則ち虚と為す。虚寒相搏つ。之を名づけて革と為す。
陽気が少ないから寒となり、コウ(草冠+孔)は血が乏しいから虚となる。
虚と寒とが互いに隙間に乗じ合い争う事を名づけて革と呼ぶ。
婦人は則ち半産漏下、男子は則ち亡血失精す。
その病を患っている婦人は流産してしまい、男の人の場合は血を失い精液を漏らしてしまう。
(13)虚勞、裏急、悸、衄、腹中痛み、夢に失精し、四肢疼痛、手足煩熱、咽乾、口燥するは、
小建中湯之を主どる。
虚労の者で、裏急(腹壁筋が内に伸びない感じ)が有り、動悸がして、鼻血が出たり、腹中痛み、夢で精液を漏らし、
手足の全体が痺れ痛んだり又は怠く痛んだり手の平や足の裏が火照り、咽より食道に至る所が乾き、口中がバサバサに燥ぐ。
これには小建中湯が中心となる。
小建中湯の方 桂枝二兩皮を去る 甘艸三兩炙る 大棗十二枚 芍藥六兩 生薑三兩 膠飴一升
小建中湯の作り方 桂枝3g皮を去る 甘草3g炙る 大棗4g 芍薬6g 生姜3g 膠飴26g
右六味を水七升を以て煮て三升を取り、滓を去り、膠飴を内れ、更に微火に上せ消解し、
一升を温め服す。日に三服。
右の膠飴以外の五味を水280tと共に120tまで煮詰め、滓を去り、残りの阿膠を入れて更に弱火で溶解させ、
1回40tを温めて服す。日に3服する。
嘔家は建中湯を用う可から不、甜きを以ての故也。
日頃から吐き気を催す者には小建中湯を与えてはいけない。甘い味は胸にもたれる傾向があるからだ。
(千金 男女積冷氣滞、或いは大病後、常に復せ不るに因りて四肢チン(シ+冗)重、骨肉サン(ヤマイダレ+)疼を
吸吸少氣し、
千金方には、男女冷えが身体に積って気が停滞し、或は大病後平常の身体が元に戻らず、それにより手足が沈んだ様に重く、
骨や肉が怠く痛み苦しみ、息を吸うばかり目立ち、
行動しすれば喘乏、胸滿氣急し、腰背強痛し、心中虚悸、咽乾脣燥し、面體色少しく、或いは飮食味無く、
体を動かせば息切れをし、胸は満って気が焦り、腰や背が凝って痛み、心中が虚して動悸が起こり、
のどは乾き唇は燥き、顔面や体の色は少なく、或は飲食しても味が無く、
脇肋腹脹し、頭重挙不、臥すること多く、起すること少なく、
脇やあばらや腹が脹れ、頭重して頭を挙げる事が出来ず、横になる事が多くて起きる事は少なく、
甚だしき者は積年、軽き者は百日漸く痩弱を致し、五臓の氣竭くせば、則ち常に復す可難し。
甚だしい者は年を重ね、軽い者は百日して痩せ弱り、五臓の気を使い果たせば、正常に戻す事は難しい。
六脈倶に不足し、虚寒氣乏しく、少腹拘急、羸瘠百病を療す。名づけて黄耆建中湯と曰ふ。又人参二両有り。)
六脈(左右の寸関尺)共に不足し、虚寒で気が少なく、下腹が攣って痛み、疲れて痩せる百病を治療する。
それを名づけて黄耆建中湯と言う。またこれに人参2g加えたものもあり。)
(14)虚勞裏急諸の不足、黄耆建中湯之を主どる。
虚労より来た裏急(腹壁筋の異常緊張又は内に伸びない感じの症状)を主として、上部には鼻血や目瞑や目眩等、
下部には大小便の不利自利等、中部には喘や息切れや胸満等の不足の証を発する者は、黄耆建中湯が中心となる。
黄耆建中湯の方 小建中湯内に黄耆一兩半を加ふ。餘は上法に依る。
黄耆建中湯の作り方 小建中湯内に黄耆1.5gを加える。煎じ方や飲み方の注意は小建中湯と同じ。
氣短く胸満る者は生薑を加え、腹満者は棗を去り茯苓一兩半を加ふ。
息切れして胸が満っている者は生姜を加え、お腹が張る者は大棗を去り茯苓1.5g加えてやりなさい。
及び肺の虚損不足を療す。氣を補ふには半夏三兩を加ふ。
そして更に肺の虚損で肺の気が不足を治療する。肺の気を補うには半夏3gを加えてやりなさい。
(15)虚勞、腰痛、小腹拘急、小便不利の者は、八味腎氣丸之を主どる。(婦人雑病中の方を見よ)
虚労で、腰痛が有り、下腹が引き攣り曲がり、小便が出にくい者は、八味腎気丸が中心となる。
(16)虚勞、諸の不足、風氣百疾、薯蕷丸之を主どる。
虚労により諸々の不足で外気の風(人体に害を与える風)の為に発する色々な病は、薯蕷丸が中心となる。
薯蕷丸の方 薯蕷三十分 當歸十分 桂枝十分 麹十分 乾地黄十分 豆黄巻十分 甘艸二十八分
人参七分 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)六分 芍藥六分 白朮六分 麥門冬六分 杏仁六分 柴胡五分
桔梗五分 茯苓五分 阿膠七分 乾薑三分 白斂二分 防風六分 大棗百枚膏と爲す
薯蕷丸の作り方 薯蕷30g 当帰10g 桂枝10g 麹10g 乾地黄10g 豆黄巻10g 甘草28g
人参7g 川キュウ(草冠+弓)6g 芍薬6g 白朮6g 麦門冬6g 杏仁6g 柴胡6g
桔梗5g 茯苓5g 阿膠7g 乾姜3g 白歛2g 防風6g 大棗100個
右の二十一味之を末とし、煉蜜に和し、丸すること弾子大の如くに、空腹に酒にて一丸を服す。一百丸を剤と為す。
右の大棗以外の二十味を粉末にして、大棗の膏と蜂蜜とを加えて密に和し、1個2〜3gの丸薬にし、
空腹時に清酒にて1丸を服す。1日3回服す。百丸を一区切りとし33日と1回分程連服用。
(17)虚勞虚煩眠るを得不るは酸棗仁湯之を主どる。
虚労から眠れないという原因は何もないのに
(熱い・寒い・冷たい・痒い・痛い等の症状が何もない。珈琲等飲み過ぎても、蒸し暑くて眠れないのも同じ。)
但だ悶えて眠れない者には、酸棗仁湯が中心となる。
酸棗仁湯の方 酸棗仁二升 甘艸一兩 知母二兩 茯苓二兩 キュウ(草冠+弓)キュウ(草冠+窮)二兩
(深師には生薑二兩有り)
酸棗仁湯の作り方 酸棗仁12g 甘草1g 知母2g 茯苓2g 川キュウ(草冠+弓)2g
右の五味を水八升を以て酸棗仁を煮て六升を得、諸藥を内れ、煮て三升を取り、分温めて三服す。
先ず右の酸棗仁を水320tと共に240tまで煮詰め、残りの四味を入れて120tまで更に煮詰め、滓を去り、
1日3回に分けて温め服す。
(18)五勞虚極、
五労
1つ目は、久視傷血(長くものを視ていると血が過労し心の気が弱って不足する)、
2つ目は、久坐傷肉(長く座り続けると肌肉が過労し脾の気が弱って不足する)、
3つ目は、久臥傷気(長く寝ていると気が過労し肺の気が弱って不足する)
4つ目は、久立傷骨(長く立っていると骨が過労し腎の気が弱って不足する)、
5つ目は、久行傷筋(長く歩いていると筋が過労し肝の気が弱って不足する)
で疲れ果てた者は、
羸痩、腹滿、飮食する能はず。
痩せ衰えて、腹が満り、飲食するが飲食すると欲しくなくなる。
食傷、憂傷、飮傷、房室傷、饑傷、労傷、
或は、食物が原因で病(脾)になったり、心配し過ぎて病(心)になったり、飲み物が原因で病(脾)になったり、
男女の営みをし過ぎて病(肝腎)になったり、空腹になり過ぎて病(脾)になったり、過労により病(脾腎)になったりした者や、
経絡榮衛氣傷、内に乾血有り、肌膚甲錯、
或は、運動のし過ぎ等で、十二経脈、十五絡脈、そして脈中を行く栄気と脈外を行く衛気とを共に損じたりした(心肺)者は、
身体内部に乾血(乾いて一カ所に固まりを生じている血)が有り、その為に肌膚が脂気を失ってカサカサになったり、
ささくれたり、ひび割れたりし、
兩目黯Kするは、中を緩め、虚を補え、大黄シャ(庶+虫)蟲丸之を主どる。
両眼の視力が衰えて物の見定めがつかなくなるのは、中を緩めて虚を補ってやりなさい。(目下の瞼が黒い)
そういう者には大黄シャ(庶+虫)蟲丸が中心となる。
大黄シャ(庶+虫)蟲丸の方 大黄十分蒸す 黄ゴン(草冠+今)二兩 甘艸三兩 桃仁一升 杏仁一升 芍藥四兩
乾地黄十兩 乾漆一兩 ボウ(亡+虫+虫)蟲一升 水蛭百枚 セイ(虫+齊)ソウ(虫+曹)一升 シャ(庶+虫)蟲半升
大黄シャ(庶+虫)蟲丸の作り方 大黄2.5g蒸して乾かす 黄ゴン(草冠+今)2g 甘草3g 桃仁10g 杏仁10g 芍薬4g
乾地黄10g 乾漆1g 虻蟲1.3g 水蛭6g セイ(虫+齊)ソウ(虫+曹)4g シャ(庶+虫)蟲2g
右十二味、之を末とし、煉蜜を和し、小豆の大きさに丸め、酒飮にて五丸を服す。日に三服す。
右の十二味を末とし煉蜜で和して小豆大とし、清酒を用いて1回5丸を服す。1日3回服用。
(1丸10g 1日2回 1回1丸)
附方
(19)千金翼、炙甘艸湯一に復脉湯と云うは、
千金翼という書物に、炙甘草湯はよく脈の結代を治し正常に復活させるから、その書には復脈湯と名づけているが、
虚勞不足汗出でて、悶脉結悸行動常の如きは、百日を出で不して、危うく急なる者は、十一日に死すを治す。
虚労で諸々の機能が不足し、汗が出た後、何となく胸苦しさを覚え、脈が結して動悸し、
寝たり起きたりその他の体の動きが普段と変わりなくいつもの様に出来る者は100日以上はもたず、
体調が思わしくなく何となくめんどくさがる者は11日目に死ぬが、炙甘草湯は以上の証候を治して、
緩やかな者も急なる者をも共に治すことが出来る。
炙甘艸湯の方 甘艸(四兩 炙る) 桂枝(三兩) 生薑(三兩) 麥門冬(半升) 麻子仁(半升)
人参(二兩) 阿膠(二兩) 大棗(三十枚) 生地黄(一升)
炙甘草湯の作り方 甘草4g炙る 桂枝3g 生姜3g 麦門冬5g 麻子仁4g 人参2g 阿膠2g 大棗5g 生地黄16g
右の九味を、酒七升、水八升を以て、先ず八味を煮て三升を取り、滓を去り、膠を内れ、消盡し、
温めて一升を服す。日に三服。
右の阿膠以外の八味を、清酒280tと水320tと共に120tまで煮詰め、滓を去り、阿膠を入れて
再び火にかけながらよくかき混ぜて溶解させ、1回40tずつ1日3回温め服す。
(20)肘後獺肝散は、冷勞を治し、又、鬼チュウ(ヤマイダレ+主)一門相染むを主どる。
肘後方という書物に獺肝散があるが、冷労(身体の冷えを苦しむ或は冷えより発した労病)という病気を治し、
見えぬ鬼により病まされた病が身体を変えて一族を滅ぼし、
そして他人に移して行く伝染病(肺結核など)を治すのが中心である。
獺肝散の方 獺肝(一具を炙り、乾かし、之を末となし、水にて方寸匕を服す。日に三服。
獺肝散の作り方 カワウソの肝一頭分炙り、乾かしてこれを末とし、1回2gを服す。1日3回服す。
(肘後は炙を陰に作る)
《血痺虚勞病脉證并びに治 第六》
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